ゼロイエコラム

空き家投資の利回りの目安は?表面利回りだけで判断しない考え方

空き家投資の利回りを解説した記事の写真(改修した洗面所)

空き家投資を調べていると、「利回り20%超え」「利回り30%」といった数字を目にすることがあります。一方で、「利回りの目安は何%くらいなら良いのか」「高い利回りの物件を選べば安心なのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、空き家投資の利回りに「この数字以上なら合格」という全国共通の目安はありません。同じ数字でも、何を含めて計算したか、どの地域のどんな物件かによって、意味がまったく変わるからです。この記事では、利回りの計算方法そのものではなく、利回りを見るときに何を含めて考えるか、なぜ地域や物件で目安が変わるのか、自分なりの判断基準をどうつくるかを整理します。

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空き家投資の利回りに「決まった目安」がない理由

不動産投資の解説では、「戸建ては利回り○%以上が目安」といった言い方をよく見かけます。しかし空き家投資、特に安く取得してリフォームして貸すタイプの投資では、こうした一律の数字はあまり当てになりません。主な理由は次の3つです。

①分母(かけたお金)の幅が大きい:物件価格が0円や数十万円でも、リフォーム費や諸費用は物件ごとに大きく違います。分母が小さく見積もられていれば、利回りはいくらでも高く見えます。

②分子(家賃)が「想定」にすぎない:まだ入居者がいない空き家では、家賃は見込みの数字です。地域の需要と合っていなければ、計算どおりの家賃では決まりません。

③リスクの大きさが物件ごとに違う:築年数、建物の傷み具合、立地、法的な制約などによって、同じ利回りでも将来の修繕や空室のリスクが大きく異なります。

つまり、利回りは「物件の良し悪しを一つの数字に要約したもの」にすぎず、その数字の前提を確かめないまま比べても、正しい判断にはつながりにくいのです。大切なのは、数字の大小よりも「その数字は何を含めて計算されたものか」を確認する習慣です。

表面利回りと実質利回りの違いをおさらい

利回りには大きく分けて、年間の家賃収入を物件価格で割っただけの「表面利回り」と、運営にかかる費用や取得時の諸費用まで含めて計算する「実質利回り」があります。具体的な計算式や計算の手順は、利回りの計算方法|表面利回りと実質利回りの違いで詳しく解説していますので、ここでは考え方の違いだけを押さえておきます。

・表面利回り:物件を比べるときの入り口の数字。計算が簡単な反面、費用や空室が反映されないため、実際の手残りより高く出ます。

・実質利回り:費用を差し引いて考える数字。何を費用に含めるかで結果が変わるため、自分で項目を確認しながら計算するのが基本です。

販売図面やポータルサイトに載っている利回りは、多くの場合表面利回りです。空き家投資では、物件価格よりもリフォーム費や諸費用の比重が大きくなりやすいため、表面利回りと実質利回りの差が一般的な中古物件以上に開くことがあります。

表面利回りだけで判断すると見落としやすいこと

表面利回りの数字だけを見て物件を選ぶと、次のような点を見落としがちです。

物件価格が安いほど、利回りは極端に高く見える

物件価格が0円や数十万円の場合、「年間家賃÷物件価格」で計算すると、利回りは数十%から、場合によっては計算できないほど高い数字になります。しかし実際には、取得時の登記費用や税金、残置物の処分、住める状態にするためのリフォームなど、物件価格以外にまとまったお金がかかります。0円で取得できても「0円で始められる」わけではない点は、空き家0円取得は本当に儲かる?初期費用と収支の目安でも整理しています。

リフォーム費の見積もりが甘いと、利回りが崩れる

空き家は、内見だけでは分からない傷みを抱えていることが少なくありません。床下や屋根、給排水管などの不具合が工事中に見つかり、費用が膨らむことがあります。リフォーム費が想定より増えれば、分母が大きくなり、利回りは下がります。費用の考え方はボロ戸建てのリフォーム費用はいくら?項目別の目安と抑え方も参考にしてください。

想定家賃で本当に入居者が決まるとは限らない

表面利回りの分子になる家賃は、多くの場合「この程度で貸せるだろう」という見込みです。周辺に似た条件の賃貸戸建てが少なく、相場の根拠が弱いまま高めの家賃を置くと、募集してもなかなか決まらず、結局家賃を下げることになります。家賃が下がれば、利回りもそのまま下がります。

空室期間と退去時の費用が入っていない

表面利回りは、1年中満室で家賃が入り続ける前提の数字です。実際には、最初の入居者が決まるまでの期間や、退去後に次の入居者が決まるまでの期間があり、その間の家賃はゼロです。退去のたびに、クリーニングや小修繕の費用もかかります。

戸建て賃貸は、一度入居が決まると長く住んでもらえることが多い一方で、退去が出たときの影響は1部屋分ではなく物件全体に及びます。アパートのように「何部屋かは埋まっている」という状態がないため、空室中は収入がまったく入りません。1軒だけで始める場合は特に、空室の期間をどの程度見込むかが、計画全体の安全性を左右します。

実質利回りを考えるときに含めたい項目

空き家投資で利回りを考えるときは、次のような項目を「分母(かけたお金)」「差し引く費用」「収入の見込み」に分けて洗い出しておくと、数字の前提がはっきりします。金額は物件や地域、依頼先によって大きく変わるため、必ず個別に見積もりや確認を取ってください。

分母に入れたいもの(取得時にかかるお金)

・物件価格(0円の場合もゼロとして記録しておく)

・登記費用(登録免許税や司法書士への報酬など)

・不動産取得税などの税金

・仲介手数料(不動産会社を通す場合)

・残置物の処分費用

・賃貸に出せる状態にするためのリフォーム費用

・工事中の予想外の出費に備える予備費

税金や登記費用は、物件の評価額や所在地、依頼する司法書士などによって変わるため、取得前に見積もりを取って分母に入れておくのが確実です。どこまで直してから貸すかによってリフォーム費は大きく変わるため、賃貸に出す前にどこまで直す?必要最小限のリフォームの考え方もあわせて確認しておくと、分母の見積もりが現実的になります。

毎年差し引きたいもの(運営中にかかるお金)

・固定資産税・都市計画税

・火災保険・地震保険などの保険料

・管理会社に依頼する場合の管理委託料

・入居者募集時の広告費や仲介手数料

・毎年の小修繕と、将来の大きな修繕に備えた積み立て

・遠方の場合の交通費など、運営のための実費

収入側で控えめに見ておきたいもの

収入は「想定家賃×12か月」をそのまま使うのではなく、空室期間を見込んで少し控えめに置くのが安全です。例えば「1年のうち1〜2か月は空室になる」と仮定しておくと、入居者の入れ替わりがあっても計画が崩れにくくなります。家賃そのものも、楽観的な数字ではなく、周辺で実際に募集されている物件の条件を根拠に置くようにします。

また、取得してすぐに貸せるとは限りません。リフォームの工事期間や、最初の入居者が決まるまでの募集期間も、収入がない期間として計画に入れておきましょう。初年度の収入は、通常の年より少なく見込んでおくのが現実的です。

「例えば」の試算で、数字の見え方の違いを確認する

ここでは、考え方をつかむための仮の例を使って、同じ物件でも前提によって利回りがどう変わるかを見てみます。以下の数字はあくまで計算の流れを示すための仮のもので、実際の相場や収益を示すものではありません。

例えば、物件価格0円の戸建てを取得し、登記費用や税金などの諸費用、残置物の処分、リフォームを合わせて合計300万円かかったとします。想定家賃が月5万円なら、年間の家賃収入は60万円です。

・物件価格だけで計算した場合:分母が0円なので、利回りは計算できません。「0円物件なら利回りは無限大」という見え方になり、判断材料になりません。

・かけたお金300万円で計算した場合:60万円÷300万円で、表面的な利回りは20%です。

・費用と空室を見込んだ場合:固定資産税や保険料、修繕の積み立てなどで年12万円、空室を年1か月分(5万円)と仮定すると、手元に残るのは43万円。43万円÷300万円で約14%です。

・リフォーム費が200万円増えた場合:かけたお金が500万円になると、同じ家賃でも43万円÷500万円で約8.6%まで下がります。

このように、同じ物件でも「何を分母に入れるか」「費用と空室をどう見込むか」「工事費が予定どおりに収まるか」で、利回りの数字は大きく動きます。広告や体験談で見る利回りの数字を、そのまま自分の物件に当てはめないほうがよい理由がここにあります。

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地域や物件によって利回りの目安が変わる理由

同じような築年数・広さの戸建てでも、地域や物件の条件によって「妥当な利回り」の感覚は変わります。主な要因を整理しておきます。

賃貸需要の強さ

人口が減っている地域や、もともと賃貸の需要が少ない地域では、入居者が決まるまでに時間がかかる、家賃を下げないと決まらない、といったリスクが高まります。こうした地域では、そのリスクを補う分だけ、高めの利回りがないと割に合わないと考えるのが一般的です。反対に、需要が安定している地域では、利回りがやや控えめでも空室リスクが小さく、安定した運営を見込みやすくなります。

家賃水準と取得・工事費のバランス

リフォームの工事費は、地域によって極端には変わらない一方、家賃の水準は地域によって大きく違います。家賃が低い地域では、同じ工事費をかけても回収に時間がかかり、利回りは下がりやすくなります。工事費をどこまでかけられるかは、その地域で取れる家賃から逆算して考える必要があります。周辺の家賃の調べ方は空き家の家賃相場の調べ方|地方の戸建て賃貸の需要を見極めるで解説しています。

建物の状態と築年数

築年数が古く、傷みが大きい物件ほど、取得後のリフォームや、運営中の修繕のリスクが大きくなります。今の利回りが高く見えても、数年後に屋根や外壁、給湯器などの大きな出費が控えているなら、その分を差し引いて考える必要があります。

法的な制約と出口の取りやすさ

再建築不可や接道に問題がある物件は、売却しにくい、融資がつきにくいといった理由から、取得価格が安くなりやすく、その分利回りが高く見えることがあります。しかし、将来手放したいときに買い手が見つかりにくいという弱点を抱えています。利回りの高さが「出口の取りにくさ」の裏返しになっていないかは、必ず確認したいポイントです。

利回りが高すぎる物件で確認したいこと

周辺の物件と比べて利回りが際立って高い物件には、多くの場合、それなりの理由があります。高い利回りそのものが悪いわけではありませんが、理由を確かめないまま飛びつくのは避けたいところです。次のような点を一つずつ確認してみてください。

・家賃の根拠:記載の家賃は現在の入居者が実際に払っている金額か、それとも想定の金額か。想定なら、周辺で同じ条件の物件が本当にその家賃で決まっているかを確認します。

・入居者の状況:入居中の物件なら、入居期間や家賃の滞納がないか、近いうちに退去の予定がないかを確認します。退去が近い場合、その後の空室とリフォーム費を見込む必要があります。

・建物の傷み:雨漏りやシロアリ、傾き、給排水の不具合など、大きな出費につながる問題が隠れていないかを内見で確認します。必要に応じて専門家の同行も検討します。

・法的な制約:再建築ができるか、接道の状況はどうか、用途に制限がないかなどを確認します。分からない点は、自治体の担当窓口や不動産会社、司法書士などの専門家に確認してください。

こうした確認をしたうえで、それでも数字が成り立つのであれば検討する価値があります。逆に、理由が分からないまま利回りの高さだけが目立つ物件は、いったん立ち止まるのが無難です。

利回りと一緒に見ておきたい3つの視点

利回りは便利な指標ですが、それだけで投資の良し悪しは決まりません。次の3つの視点もあわせて確認すると、判断の精度が上がります。

かけたお金を何年で回収できるか

かけたお金の合計を、費用を差し引いた年間の手残りで割ると、おおよその回収年数が分かります。先ほどの仮の例なら、300万円÷43万円で約7年です。回収年数が長くなるほど、その間に大きな修繕や長い空室が起きる可能性も高まります。自分の資金計画のなかで、何年程度で回収したいのかを先に決めておくと、物件を比べやすくなります。

毎月の手残り(キャッシュフロー)

利回りは年単位の割合ですが、実際の生活に影響するのは毎月いくら残るかです。借入れをして取得する場合は、返済額を差し引いた後の手残りも確認しておきましょう。利回りが同じでも、自己資金で買うか、借入れを使うかで、毎月の手残りやリスクの大きさは変わります。

出口(売却や次の活用)の見通し

不動産投資の成果は、運営中の家賃収入だけでなく、最終的に手放すときの価格まで含めて決まります。運営中の利回りが高くても、売却が難しく持ち続けるしかない物件では、修繕費や税金の負担が長く続きます。どのような形で出口を取れそうかも、取得前に考えておきたい要素です。

自分なりの「利回りの目安」をつくる手順

全国共通の目安がない以上、最終的には自分の状況に合わせた判断基準を持つことが大切です。次のような手順で考えると、物件を比べるときにぶれにくくなります。

①使える資金と回収したい期間を決める:手元資金のうちいくらまで使えるか、何年程度で回収したいかを先に決めます。

②検討する地域の家賃相場を調べる:似た条件の賃貸戸建てがいくらで募集されているかを複数確認し、想定家賃の根拠をつくります。

③家賃から逆算して、かけられる上限額を出す:想定家賃から費用と空室を差し引いた手残りに、回収したい年数を掛けると、取得とリフォームにかけられるおおよその上限が見えてきます。

④個別の物件で見積もりを取り、上限に収まるか確認する:内見と見積もりで実際の費用を確かめ、予備費を足しても上限に収まるかを見ます。

⑤うまくいかなかった場合の数字も計算しておく:家賃が想定より下がった場合、工事費が増えた場合、空室が長引いた場合でも、耐えられるかを確認します。

このように「家賃から逆算する」考え方をとると、利回りは結果として出てくる数字になり、広告の数字に振り回されにくくなります。ボロ戸建て投資で利回りが高いといわれる背景やリスクについては、ボロ戸建て投資とは?利回りが高いと言われる理由とリスクも参考にしてください。

よくある質問

空き家投資の利回りは何%あれば良いのですか?

一律の答えはありません。賃貸需要の強さ、家賃水準、建物の状態、出口の取りやすさによって、妥当な水準は変わります。数字の高さだけで判断するのではなく、費用や空室をどう見込んだか、うまくいかなかった場合でも耐えられるかをあわせて確認することをおすすめします。

0円物件の利回りはどう計算すればよいですか?

物件価格が0円の場合、物件価格だけを分母にすると利回りが計算できません。登記費用や税金、残置物の処分費用、リフォーム費用など、実際にかけたお金の合計を分母にして考えるのが現実的です。

広告に載っている利回りは信用してよいですか?

多くの場合、表面利回りが記載されています。記載されている家賃が現在の入居者による実際の家賃なのか、想定の家賃なのかも確認が必要です。自分で費用と空室を見込んで計算し直すと、物件の実態がつかみやすくなります。

税金は利回りの計算に入れるべきですか?

固定資産税などの物件にかかる税金は、運営中の費用として差し引いて考えるのが一般的です。家賃収入にかかる所得税や住民税は個人の状況によって変わるため、手残りを詳しく知りたい場合は税理士に相談してください。申告の基本は戸建て賃貸の確定申告|不動産所得の基本と経費の考え方で解説しています。

まとめ

空き家投資の利回りには、全国共通で通用する目安はありません。物件価格が安いほど表面利回りは高く見えますが、諸費用やリフォーム費、運営中の費用、空室を含めて考えると、数字は大きく変わります。また、賃貸需要や家賃水準、建物の状態、出口の取りやすさによって、妥当な利回りの感覚も地域や物件ごとに異なります。

利回りの数字だけで判断するのではなく、何を含めて計算したかを確認し、家賃から逆算してかけられる上限を決め、うまくいかなかった場合の数字まで計算しておくことが、後悔しない物件選びにつながります。費用や税金の個別の判断については、施工業者や税理士などの専門家にも確認しながら進めてください。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件・個人に対する税務・法律・会計上の助言ではありません。税金・登記・法令・補助制度などは、物件の所在地や個別の状況、制度改正によって内容が異なります。実際の取引や運用にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・不動産の専門家などにご相談のうえ、最新の公的情報をご確認ください。また、本記事内の数値は一般的な例や仮の試算であり、収益や成果を保証するものではありません。

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