ゼロイエコラム

ボロ戸建てのリフォーム費用はいくら?項目別の目安と抑え方

畳を上げて床の補修を進めている和室の様子

安く取得できたボロ戸建てでも、貸し出すまでには修繕が必要です。「結局いくらかかるのか」が分からないと、取得の判断もできません。物件価格が0円や数十万円であっても、修繕費しだいで総額は大きく変わり、家賃で回収できるかどうかもそこで決まります。

この記事では、工事の項目ごとに費用の考え方と一般的な目安の幅を整理し、どこを直してどこを残すかの線引き、見積もりの取り方と読み方、費用を抑えるための進め方、収支への落とし込み方までをまとめます。金額はあくまで考え方の目安として読み、実際の判断は現地を見た施工業者の見積もりで行ってください。

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まず押さえたい前提:金額は「状態」と「地域」で大きく変わる

リフォーム費用は、建物の傷み具合、構造、延床面積、地域の職人さんの手間賃、資材の価格によって大きく変わります。同じ「水まわり一式」でも、配管ごと交換するのか、設備だけ入れ替えるのかで金額は何倍も違います。以下に挙げる金額はあくまで一般に語られる幅であり、実際の金額は必ず現地を見た施工業者の見積もりで確認してください。

金額がぶれる理由は、主に次の3つです。

  • 見えない部分の状態:床下、壁の中、屋根裏は、開けてみるまで分からないことが多く、工事が始まってから追加が出やすい部分です
  • 工事の範囲の決め方:「使えるものは残す」のか「この機会に全部新しくする」のかで、同じ家でも金額は大きく分かれます
  • 地域と時期:職人さんの数が少ない地域や、繁忙期・資材の値上がりの時期は、金額も工期も読みにくくなります

また、ボロ戸建ての「修繕費」には、工事代金だけでなく、残置物の処分、ハウスクリーニング、設備の点検、場合によっては測量や行政手続きの費用など、工事以外の支出も含めて考える必要があります。取得前の段階では、これらをひとまとめにした「入居までにかかる総額」で見積もる習慣をつけておくと、判断がぶれにくくなります。

項目別に見る費用の考え方

ここからは、ボロ戸建てでよく出てくる工事を項目ごとに見ていきます。金額の幅だけでなく、「なぜ金額が変わるのか」「どこを確認すればよいか」を押さえておくと、見積もりを受け取ったときに内容を読み解きやすくなります。

屋根・外壁(雨漏り対策)

優先度が最も高い項目です。雨漏りを放置すると、構造材の腐り、シロアリ、内装のやり直しへと被害が広がり、費用も膨らみます。部分補修で収まるのか、葺き替えや張り替えが必要なのかで金額の桁が変わるため、見積もり前に「どこから水が入っているか」を特定してもらうことが重要です。一般には、部分補修なら数万円から十数万円、屋根の葺き替えとなると数十万円から百万円超まで幅があるとされます。

雨漏りは、屋根だけでなく、外壁のひび割れ、窓まわりのすき間、ベランダの防水の切れなどから起きることもあります。天井のしみの位置と、屋根・外壁の傷みの位置が一致しない場合もあるため、雨の日やその直後に確認してもらえると原因を特定しやすくなります。外壁の塗装は見た目の印象を大きく変えますが、雨漏りの原因になっていなければ、入居後に回す判断もあり得ます。

水まわり(キッチン・浴室・洗面・トイレ)

入居の決め手になりやすく、同時に費用もかさむ箇所です。設備の入れ替えだけで済むか、床下の配管から直すかで大きく変わります。ユニットバスへの変更は数十万円から、キッチンの交換も同程度、トイレ・洗面は比較的抑えられる傾向があります。既存の設備が使える場合は、清掃とパッキン交換などで済ませる判断もあります。

古い戸建てでは、在来工法のタイル張りの浴室が残っていることがよくあります。タイルの割れやすき間から土台に水が回っていると、浴室だけでなく周辺の床や柱の補修まで必要になることがあります。逆に、防水に問題がなければ、水栓や鏡、照明の交換と徹底した清掃だけで十分に貸せるケースもあります。トイレが汲み取り式や単独浄化槽の場合は、下水道への接続や浄化槽の扱いで費用と手続きが大きく変わるため、自治体の担当窓口にも早めに確認しておきましょう。

内装(床・壁・天井)

クロスの張り替え、畳の表替えやフローリングへの変更などが該当します。面積に比例するため、部屋数が多いほど金額が伸びます。ここは見た目の印象を左右する一方、工法の選択で費用を調整しやすい部分でもあります。

例えば、床がきしむ程度なら既存の床の上にフロア材を重ね張りする方法、畳は表替えで済ませる方法、壁は全面張り替えではなく汚れの目立つ面だけ張り替える方法などがあります。ただし、床が沈む・ふわふわするといった症状がある場合は、下地や床下の腐りが原因のことがあるため、表面だけ直しても再発します。見た目の工事と構造の工事を分けて考えることが大切です。

電気・ガス・給排水の設備

長く使われていなかった建物では、分電盤の容量不足、配線の劣化、給湯器の故障、配管の詰まりなどが見つかることがあります。生活に直結するため後回しにできず、見積もりに入れ忘れやすい項目でもあります。

電気は、通電させてみるまで状態が分からないことも多く、漏電が見つかれば配線の引き直しが必要になる場合があります。給湯器は年数がたっていれば交換を前提に考えておくほうが安全です。水道は、長期間止まっていた建物では、通水したとたんに配管の継ぎ目から水が漏れることもあります。電気・ガス・給排水の工事は資格が必要なものが多いため、必ず有資格の事業者に依頼してください。

シロアリ・床下・建物の傾き

金額の振れ幅が最も大きく、取得の判断そのものを左右する項目です。シロアリの被害が土台や柱にまで及んでいる場合や、建物が目に見えて傾いている場合は、補修に大きな費用がかかったり、そもそも賃貸に向かなかったりすることがあります。床下点検口から懐中電灯で見るだけでも、湿気、蟻道(シロアリの通り道)、木材の腐りなどの手がかりが得られます。気になる点があれば、取得前に専門の業者に調査してもらうことをおすすめします。

建具・窓・鍵・外まわり

ふすまや室内ドアの建て付け、窓の開閉、網戸、玄関の鍵などは、一つひとつは小さな工事ですが、数が多いと合計で意外な金額になります。入居者の安全と防犯にかかわる鍵の交換は、原則として入居前に行うものと考えておきましょう。庭木の伐採や草刈り、ブロック塀の補修なども、物件によっては必要になります。特に古いブロック塀は、傾きやひび割れがあると倒壊の危険があるため、状態を確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

残置物の処分と清掃

工事費とは別に、家財の撤去費用がかかります。量と階数、搬出経路によって金額が変わり、想定外に膨らむことがある項目です。進め方は残置物が残った空き家の片づけ|費用と進め方で詳しく扱っています。

状態別に見る、修繕のイメージ

項目ごとの話だけでは全体像がつかみにくいため、建物の状態を大きく3つに分けて、どのような工事の組み合わせになりやすいかを整理します。以下は考え方を示すための仮の例で、実際の内容と金額は物件ごとに異なります。

  • 軽度(数年前まで人が住んでいた家など):残置物の処分、清掃、クロスや畳の部分的な張り替え、鍵の交換、設備の点検程度で済むケースです。費用は比較的抑えやすく、自分で手を動かせる範囲も広がります
  • 中程度(長く空き家だった家など):上記に加えて、給湯器の交換、水まわり設備の一部入れ替え、床の補修、建具の調整などが加わるケースです。どこまで新しくするかの判断で、総額が大きく変わります
  • 重度(雨漏りや床下の傷みがある家など):屋根や外壁の補修、土台や床組の補修、配管や配線の引き直しなど、構造や設備の根本にかかわる工事が必要になるケースです。物件価格が0円でも、取得そのものを見送る判断が妥当な場合があります

取得を検討している物件がどの段階に近いかを、内見の時点でおおまかにつかんでおくと、見積もりを取る前から「この物件は手に負えるか」の見当がつきます。内見で見るべき箇所はボロ戸建て投資とは?利回りが高いと言われる理由とリスクでも触れていますが、雨漏り、床下、傾き、水まわりの4点は特に注意して確認しましょう。

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「直す・直さない」の線引き

費用を抑える最大のポイントは、工事を安くすることではなく、必要のない工事をしないことです。判断の軸は次の順番で考えると整理しやすくなります。

  1. 安全・法令にかかわる部分(雨漏り、電気、シロアリ、傾き)── 原則として直す
  2. 生活に支障が出る部分(給湯、トイレ、鍵、建具の開閉)── 直す
  3. 入居の決め手になる部分(水まわりの清潔感、照明、においと汚れ)── 家賃帯に見合う範囲で直す
  4. 好みの問題(間取りの変更、デザイン性の高い内装)── 原則として後回し

3番目の「家賃帯に見合う範囲」が判断の分かれ目です。地方の戸建て賃貸では、新築同様の仕上がりよりも「清潔で、きちんと使えること」が重視される傾向があります。周辺の競合物件がどの程度の設備で、いくらで貸し出されているかを調べたうえで、それより少し良い状態を目指すと、過剰な工事を避けやすくなります。この線引きの詳しい考え方は賃貸に出す前にどこまで直す?必要最小限のリフォームの考え方にまとめています。

見積もりの取り方と読み方

リフォーム費用の実際の金額は、見積もりを取って初めて分かります。ただ、見積もりは取り方と読み方しだいで、比較できるものにも、比較できないものにもなります。次の点を意識しておくと、後からのトラブルを減らせます。

依頼するときに伝えること

  • 賃貸に出す目的であること、想定している家賃帯
  • 「必ず直したい箇所」と「予算しだいで判断したい箇所」の区別
  • 補助金の申請を考えている場合は、その旨(内訳の分け方が変わることがあります)
  • 工事の希望時期と、入居募集を始めたい時期

受け取った見積もりで確認すること

  • 「一式」の中身:一式とだけ書かれた項目は、どこまで含まれるのかを質問し、できれば数量や範囲を書き出してもらいます
  • 諸経費や処分費の扱い:廃材の処分費、運搬費、養生費などが別になっているかどうかで、総額の見え方が変わります
  • 追加工事の条件:開けてみて想定外の傷みがあった場合、誰がどう判断し、どのように金額を決めるのかを事前に確認します
  • 工期と支払い条件:着手金の有無、支払いの時期、工期が延びた場合の扱いを確認しておきます

口頭での約束はあとで食い違いの原因になりやすいため、工事の範囲や追加の条件は、契約書や注文書などの書面に残しておきましょう。契約内容に不安がある場合は、契約前に専門家に相談することも検討してください。

費用を抑えるための進め方

  • 契約前に見てもらう:取得を決める前に施工業者に同行してもらえば、修繕費を含めた総額で判断できます
  • 複数社から取る:同じ工事でも金額と提案は分かれます。2〜3社の見積もりを比べると、相場観が持てます
  • 優先順位をつけて分ける:入居に必要な工事を先に行い、それ以外は入居後の収入から段階的に進める方法もあります
  • 補助制度を調べる:自治体によっては改修費の一部を補助する制度があります。詳しくは空き家の改修に使える補助金・助成金と、自治体制度の探し方と、金額の決まり方をまとめた空き家の補助金はいくらもらえる?金額の決まり方と申請の流れをご覧ください
  • 家賃から逆算する:想定家賃に対して回収に何年かかるかを計算し、見合わない工事は見送ります

このほか、地元の工務店や職人さんに直接依頼すると、中間の費用が抑えられる場合があります。一方で、工程の管理や職人さん同士の段取りを自分で担う必要が出てくるため、遠方の物件や初めての工事では、まとめて任せられる業者のほうが結果的に安心なこともあります。補助金を使う場合は、多くの制度で「工事の前に申請し、交付決定を受けてから着工する」ことが条件になっています。着工を急ぐ前に、必ず自治体の窓口で要件と時期を確認してください。

予備費を含めた資金計画を立てる

ボロ戸建ての修繕では、見積もりどおりに終わらないことを前提にしておくほうが安全です。床をはがしたら土台が傷んでいた、通水したら配管から漏れた、といった追加はめずらしくありません。見積もり額に一定の予備費を上乗せして資金を用意しておくと、途中で資金が尽きて工事が止まる事態を避けられます。

予備費をどの程度見るかは、建物の状態と、事前の調査でどこまで確認できたかによって変わります。床下や屋根裏をしっかり確認できた物件なら小さめに、確認できなかった部分が多い物件なら大きめに見ておく、という考え方です。また、工事が終わってから入居が決まるまでの期間も、固定資産税や保険料、光熱費の基本料金などの支出は続きます。修繕費だけでなく、空室期間の支出も含めて資金計画を立てておきましょう。

収支に落とし込んで判断する

修繕費は「取得価格+修繕費+諸費用」の総額で見ます。そのうえで、想定家賃から管理費・固定資産税・将来の修繕積立を差し引いた手残りで、何年かけて回収できるかを確認します。計算の手順は利回りの計算方法|表面利回りと実質利回りの違い、想定家賃の調べ方は空き家の家賃相場の調べ方|地方の戸建て賃貸の需要を見極めるが参考になります。

考え方の例として、取得価格が0円、修繕費と諸費用の合計が仮に一定額かかる物件を想定します。この場合、年間の手残りで総額を割ると、おおよその回収年数が出ます。回収年数が長すぎる場合は、工事の範囲を見直すか、家賃を上げられる工事に絞るか、取得そのものを見送るかを検討します。反対に、少し費用をかけても家賃が上がり、入居が決まりやすくなる工事であれば、総額が増えても回収年数は短くなることがあります。「安く直す」ではなく「回収できる範囲で直す」という視点を持つことが大切です。

なお、修繕にかかった費用は、内容によって「修繕費」として一度に経費にできるものと、「資本的支出」として減価償却で数年に分けて計上するものに分かれることがあります。この区分は手残りや税金の計算にも影響するため、判断に迷う場合は税理士や税務署に確認してください。

よくある質問

自分でDIYすれば安くなりますか?

内装の一部など、安全にかかわらない範囲であれば費用を抑えられる場合があります。ただし電気・ガス・給排水の工事は資格が必要なものがあり、自己判断での施工は避けてください。また、DIYは時間がかかるぶん、入居募集の開始が遅れて家賃収入が入らない期間が延びることもあります。かかる時間も費用の一部として考えましょう。

見積もりが業者ごとに大きく違うのはなぜですか?

工事の範囲や工法の想定が異なるためです。金額だけでなく、「何をどこまでやる見積もりか」をそろえて比較すると、違いの理由が見えてきます。

取得前に、どこまで分かるものですか?

床下や壁の中など、開けてみないと分からない部分は残ります。だからこそ見積もりには余裕を見ておき、想定を超えた場合でも資金が尽きない計画にしておくことが大切です。

工事の途中で追加費用が出たら、どうすればよいですか?

まず、追加が必要な理由と範囲を、写真などで具体的に説明してもらいましょう。そのうえで、今やらないと被害が広がる工事なのか、入居後に回せる工事なのかを、先ほどの「直す・直さない」の線引きに当てはめて判断します。金額と範囲は、着手前に書面で確認しておくと安心です。

築年数の古い家では、耐震の工事も必要ですか?

建てられた時期によって、現在の耐震の考え方とは異なる基準で建てられている場合があります。耐震診断や補強工事は費用がかかる一方で、自治体によっては診断や補強に対する補助制度が用意されていることもあります。必要性や制度の有無は、建築士などの専門家や自治体の窓口に確認したうえで判断してください。入居者の安全にかかわる部分なので、取得前の段階から検討に入れておくと安心です。

まとめ

ボロ戸建てのリフォーム費用は、項目ごとに幅が大きく、「いくら」と一言では言えません。だからこそ、取得前に現地を見てもらい、直す範囲を決め、見積もりの中身をそろえて比較し、予備費を含めた資金計画と家賃からの逆算で判断する手順が重要になります。手法全体の考え方はボロ戸建て投資とは?利回りが高いと言われる理由とリスク、工事のあとに起きやすいつまずきは戸建て賃貸経営の失敗事例|空室・修繕・出口でつまずく理由もあわせてご覧ください。なお、工事の内容や契約条件については、必ず施工業者や専門家にご確認ください。

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