ゼロイエコラム

空き家の改修に使える補助金・助成金と、自治体制度の探し方

会議室で資料を手に話し合うビジネスパーソンたち

空き家を取得して活用するときには、自治体が用意している補助金や助成金が使える場合があります。うまく使えれば、修繕費などの負担を減らせます。一方で、「どこに載っているのか分からない」「自分の物件が対象になるのか判断できない」「気づいたときには受付が終わっていた」という声も少なくありません。

この記事では、空き家に関する制度の主な種類と、よくある条件、自治体の制度を漏れなく探す手順、窓口で確認したいこと、利用するときの注意点を整理します。補助金の金額の決まり方や、賃貸住宅の空室対策に使える制度については別の記事で詳しく扱っているため、ここでは「どんな制度があり、どう探し、どう確かめるか」に絞って解説します。

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空き家に関する主な補助金・助成金の種類

制度の有無や内容、金額は自治体によって大きく異なります。同じ県内でも、隣の市町村ではまったく違う制度になっていることがあります。以下は、多くの自治体で見られる一般的な例です。

  • 改修(リフォーム)費用の補助:空き家を賃貸や居住に使うための工事費用の一部を補助する制度。
  • 家財道具・残置物の処分費用の補助:空き家に残された家財の撤去・処分に使える制度。
  • 解体費用の補助:老朽化した空き家を取り壊す際の費用を補助する制度。
  • 空き家バンク関連の補助:空き家バンクに登録された物件の購入や改修、引っ越しなどを支援する制度。
  • 移住・定住の支援金:移住者向けに、住宅の取得や改修などを支援する制度。

このほか、耐震診断・耐震改修、省エネ改修(断熱窓や断熱材など)、バリアフリー改修、子育て世帯向けの住宅支援といった、空き家に限らない住宅全般の制度が使える場合もあります。「空き家」という名前が付いていない制度にも対象になりうるものがあるため、探すときは住宅関連の制度全体を見渡すことが大切です。

取得・改修・活用のどの段階で使う制度か

制度を整理するときは、空き家活用のどの段階で使うものかで分けると分かりやすくなります。

  • 取得の段階:空き家バンク経由の購入支援、移住者向けの住宅取得支援など
  • 片づけ・改修の段階:残置物の処分、リフォーム、耐震・省エネ改修など
  • 活用・入居の段階:入居者や移住者向けの家賃・引っ越し支援など(物件の持ち主ではなく、住む人が対象のもの)
  • 手放す・建て替える段階:解体費用の補助など

空き家を取得して貸す場合、主に関係するのは「取得」と「片づけ・改修」の段階の制度です。ただし、入居者向けの支援がある地域では、それを募集時の案内に使える場合もあります。

補助金でよくある条件

制度の名前だけを見て「使えそうだ」と判断するのは危険です。実際には細かな条件があり、そのうち一つでも満たさなければ対象外になります。よく見られる条件は次のとおりです。

  • 空き家バンクへの登録が、対象となる条件になっている。
  • 自分が住むことが条件で、賃貸目的は対象外となる場合がある。
  • 工事の契約・着工前に申請することが必要で、あとからの申請は認められない。
  • 予算の枠や受付期間が決まっており、上限に達すると早めに締め切られる。
  • 対象となる工事の範囲や、補助の上限額が決まっている。
  • 地元の事業者を利用することが条件になっている場合がある。
  • 所有者と取得者のどちらが対象になるかが、制度によって異なる。

見落としやすい条件

上の条件に加えて、募集要項の後半に書かれていて見落としやすい条件もあります。

  • 税金の滞納がないこと:申請者に市町村税などの滞納がないことを証明する書類を求められることがあります。
  • 一定期間の利用継続:補助を受けたあと、決められた期間は住み続ける・貸し続けるといった条件が付く場合があります。途中で売却や用途変更をすると、返還を求められることがあります。
  • 建物の要件:建築時期、構造、耐震性、空き家になってからの期間などが条件になっていることがあります。
  • 申請者の要件:年齢、世帯構成、転入の時期、法人か個人かといった条件が付く場合があります。
  • 過去の利用歴:同じ物件や同じ人が以前に補助を受けていると対象外になる場合があります。

特に、投資目的で空き家を取得して貸す人にとっては、「自分が住むこと」「移住者であること」が条件になっている制度は使えないことが多い点に注意が必要です。賃貸活用でも使える制度かどうかは、早い段階で確認しておきましょう。賃貸住宅の空室対策に絞った制度の考え方は、空室対策に使える補助金|賃貸住宅の改修で確認したい制度と注意点で整理しています。

補助金・助成金の探し方

自治体の制度は、一つのページにまとまっているとは限りません。担当部署ごとに別々のページで案内されていることが多いため、次の順番で探すと漏れを減らせます。

  1. 対象の自治体のホームページで、「空き家 補助金」「空き家 改修 助成」などのキーワードで調べる。
  2. 空き家バンクの案内ページに、関連する制度が載っていないかを確認する。
  3. 役所の空き家対策・住宅・移住支援などの担当窓口に、電話や訪問で確認する。

ホームページで探すときのコツ

自治体のホームページ内の検索機能は、言葉が少し違うだけで見つからないことがあります。次のような言い換えも試してみてください。

  • 「補助金」だけでなく「助成金」「支援金」「奨励金」「交付金」
  • 「空き家」だけでなく「空家」「住宅」「リフォーム」「改修」「家財処分」「解体」
  • 「移住」「定住」「UIJターン」「住まい」

また、市町村だけでなく都道府県が独自に実施している制度や、都道府県と市町村が共同で実施している制度もあります。都道府県のホームページや、移住支援のポータルサイトもあわせて確認しておくと安心です。前年度の募集要項しか見つからない場合でも、制度の大まかな形をつかむ参考になります。ただし、今年度も同じ内容で実施されるとは限りません。

空き家バンクと一緒に確認する

空き家バンクを運営している自治体では、バンクの案内ページや物件情報の中に、関連する補助制度へのリンクがまとめられていることがあります。バンク登録物件だけが対象の制度もあるため、物件探しの段階から補助制度をセットで見ておくと、後で「登録物件ではなかったので対象外だった」ということを防げます。空き家バンクの使い方は、空き家バンクの使い方|物件の探し方と問い合わせのコツで詳しく解説しています。

調べるのは物件を取得する前

補助制度は、物件の取得を決めてから調べるのでは遅い場合があります。取得や譲渡の契約前に申請や登録が必要な制度もあるうえ、補助を受けられるかどうかで、必要な自己資金や工事の範囲が変わるからです。気になる地域が決まった段階で、その地域の制度を一通り調べておき、候補の物件が出てきたら条件に当てはまるかを照らし合わせる、という順番がおすすめです。

複数の地域を比べている場合は、地域ごとに「改修の補助があるか」「賃貸目的でも対象か」「受付期間はいつか」を簡単なメモにまとめておくと、物件を比べるときの判断材料になります。

窓口で確認したいことチェックリスト

ホームページで制度が見つかったら、必ず担当窓口に問い合わせて、最新の情報を確認しましょう。電話で確認するときは、次の項目を順番に聞くと、必要な情報を一度にそろえられます。

  1. 今年度の募集は行っているか、受付期間と予算の残りはどうか
  2. 賃貸目的での取得・改修も対象になるか
  3. 申請できるのは所有者か、取得予定者か、法人でもよいか
  4. 申請のタイミングは、売買や譲渡の契約前か後か、工事の契約前か
  5. 対象となる工事・費用の範囲と、対象外になる費用
  6. 施工業者に条件はあるか(市内業者に限るなど)
  7. 必要な書類(見積書、図面、写真、登記事項証明書、納税証明書など)
  8. 補助金が支払われる時期と、完了後に必要な報告
  9. 受給後に守る条件(利用の継続期間など)と、違反した場合の扱い
  10. 他の補助制度との併用は可能か

聞いた内容は、日付と担当部署名と一緒に記録しておきましょう。担当者が変わったときや、申請の段階で話が食い違ったときに役立ちます。電話での回答は目安にとどめ、最終的には募集要項や申請書類の記載で確認することが大切です。

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申請から受け取りまでの大まかな流れ

制度によって手順は異なりますが、改修費用の補助では、一般的に次のような流れになります。

  1. 窓口への事前相談
  2. 施工業者に見積もりを依頼し、必要書類をそろえる
  3. 交付申請を出す
  4. 審査を経て交付決定の通知を受ける
  5. 交付決定のあとに、工事の契約・着工をする
  6. 工事完了後に、実績報告(領収書・完成写真など)を出す
  7. 補助額が確定し、補助金が振り込まれる

ここで重要なのは、補助金は多くの場合「後払い」だという点です。工事費はいったん全額を自分で支払い、完了報告のあとに補助金が振り込まれます。手元の資金計画は、補助金を受け取る前の時点でも回るように組んでおく必要があります。補助率や上限額など、金額がどう決まるかについては、空き家の補助金はいくらもらえる?金額の決まり方と申請の流れで詳しく解説しています。

利用するときの注意点

  • 制度は年度ごとに内容が変わることがあり、予算がなくなれば終了する。
  • 契約や着工の前に申請が必要な制度が多い。
  • 他の補助制度との併用ができない場合がある。
  • 受け取った補助金は、税金の扱いが必要になる場合がある。

スケジュールが工事の段取りに影響する

補助金を使う場合、申請から交付決定までに一定の期間がかかります。その間は工事に着手できないため、早く貸し出したい場合でも待つ必要があります。また、年度末までに工事と完了報告を終えることが条件になっている制度もあり、年度の後半に申請すると工期が足りなくなることがあります。補助金を使うかどうかは、入居者募集の時期とあわせて判断しましょう。

税金の扱いは専門家に確認する

賃貸用の物件で受け取った補助金は、収入として扱うのか、建物の取得価額から差し引くのかなど、会計や税金の処理が必要になる場合があります。個人か法人か、補助の対象が何かによって扱いが変わることがあるため、確定申告の前に税理士や税務署に確認してください。

制度の種類ごとに確認したいポイント

同じ「空き家の補助金」でも、制度の種類によって確認すべき点が少しずつ違います。主な種類ごとに、事前に押さえておきたいことを整理します。

改修費用の補助で確認すること

改修費用の補助では、どの工事が対象になるかが最も大切です。屋根・外壁・水回りなど建物の性能や機能を回復する工事は対象になりやすい一方、家具や家電の購入、外構、見た目だけを整える工事は対象外とされることがあります。見積書の項目の分け方によって補助の対象額が変わることもあるため、施工業者には「補助金を使う予定であること」を最初に伝え、制度の対象と対象外が分かる形で見積書を作ってもらうと手続きがスムーズです。また、着工前と完成後の写真の提出を求められることが多いので、工事前の状態を撮り忘れないようにしましょう。

残置物の処分費用の補助で確認すること

家財道具の処分費用を補助する制度では、処分を依頼する業者に条件があることがあります。自治体の許可を持つ業者であることや、処分した量や内容が分かる書類を出せることなどです。また、自分で運び出した分は対象外になる場合もあります。処分の前と後の写真、見積書、領収書の提出が求められることが多いため、業者に依頼する前に必要な書類を確認しておきましょう。所有者の側で処分する場合と、取得する側で処分する場合とで、申請できる人が変わることもあります。

解体費用の補助で確認すること

解体費用の補助は、主に危険な状態の空き家や老朽化が進んだ空き家を対象としていることが多く、事前に自治体による建物の調査や判定が必要な場合があります。また、建物を解体すると、土地の固定資産税の扱いが変わることがあるため、補助の有無だけで判断しないことが大切です。賃貸で活用する目的で取得する場合、解体の補助はあまり関係しないことが多いですが、建物の状態が悪く活用が難しい物件の出口を考えるうえでは、知っておくと判断材料になります。

移住・定住の支援で確認すること

移住・定住の支援は、その地域に住む人を増やすことが目的のため、申請者本人が転入して住むことが前提になっていることがほとんどです。投資目的で空き家を取得して貸す場合は、対象外となるのが一般的です。ただし、入居者が移住者であれば、入居者自身がこうした支援を受けられる可能性があります。地域の移住支援制度を把握しておくと、入居者募集のときに案内できる情報として役立つことがあります。

補助金ありきで物件や工事を決めない

補助金は、あくまで費用の一部を助けてもらう仕組みです。補助が出るからといって、必要以上の工事をしたり、条件の悪い物件を選んだりすると、かえって収支が悪くなることがあります。

例えば、補助の対象になる工事を増やしたことで総額が膨らみ、自己負担額が補助なしの最小限の工事より大きくなってしまう、というケースが考えられます。また、補助の条件として地元業者を使う必要がある場合、相見積もりで比べられる業者の数が限られることもあります。

収支を考えるときは、「補助金を使った場合」と「使わなかった場合」の2通りで、工事費の総額、自己負担額、貸し出せるまでの期間を並べて比べてみるのがおすすめです。補助金を使うと交付決定を待つ期間が生じるため、その間の家賃収入が得られないことも含めて比べると、本当に得かどうかが見えやすくなります。審査の結果によっては不採択になる可能性もあるため、補助が出なかった場合にも計画が崩れないかを確認しておきましょう。

まずは補助金がなくても成り立つ計画を立て、そのうえで「使える制度があれば負担を減らせる」という順番で考えるのが基本です。賃貸に出すために必要な工事の範囲はボロ戸建てのリフォーム費用はいくら?項目別の目安と抑え方、残置物の片づけの進め方は残置物が残った空き家の片づけ|費用と進め方も参考にしてください。

よくある質問

0円で取得した空き家でも補助金の対象になりますか?

取得の金額そのものより、物件や申請者が制度の条件を満たしているかで決まるのが一般的です。ただし、取得の方法(売買か贈与か)や、名義変更がいつ終わっているかによって、申請できる時期が変わることがあります。取得前に窓口で確認しておきましょう。

すでに工事を始めてしまいました。今から申請できますか?

多くの制度では、着工前の申請と交付決定が条件になっており、着工後の申請は認められないことが一般的です。例外がある制度もありえますが、まずは窓口に事情を伝えて確認してください。次の物件からは、補助制度の確認を工事の見積もりより先に行うようにしましょう。

遠方の物件でも申請できますか?

申請者の住所ではなく物件の所在地で判断する制度であれば、遠方に住んでいても申請できる場合があります。一方で、その地域に住むことや転入が条件の制度は対象外です。書類のやり取りや現地確認が必要になることも多いため、手続きの方法も含めて確認しておきましょう。

複数の補助金を組み合わせられますか?

同じ工事に対して複数の補助を受けることは、認められない場合が多いです。一方で、残置物の処分と改修工事のように、対象が別々であれば併用できることもあります。併用の可否は制度ごとに決まっているため、それぞれの窓口で確認してください。

制度が見つからない自治体ではどうすればよいですか?

ホームページに掲載がなくても、窓口に問い合わせると、住宅全般の制度や都道府県の制度を案内してもらえることがあります。それでも使える制度がない場合は、補助金がない前提で収支を組み立てましょう。補助制度の有無は物件を選ぶ理由の一つにはなりますが、立地や建物の状態、家賃の相場のほうが、長い目で見た収支には大きく影響します。

まとめ

空き家の補助金・助成金は、自治体ごとに条件が異なります。取得を検討している地域の制度を、あらかじめ調べておくことで、修繕費などの負担を抑えられる可能性があります。探すときは、「空き家」という名前の制度だけでなく住宅全般の制度まで広く確認し、ホームページで見つけた情報は必ず窓口で最新の内容を確かめましょう。そして、着工前の申請、後払い、受給後の条件という3つの点を押さえ、補助金がなくても成り立つ計画を基本にすることが大切です。

費用の全体像は、空き家0円取得は本当に儲かる?初期費用と収支の目安、取得の仕組みは、空き家を0円で手に入れる方法とは?仕組みと注意点を解説、補助金の金額の決まり方は空き家の補助金はいくらもらえる?金額の決まり方と申請の流れもあわせてご覧ください。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件・個人に対する税務・法律・会計上の助言ではありません。税金・登記・法令・補助制度などは、物件の所在地や個別の状況、制度改正によって内容が異なります。実際の取引や運用にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・不動産の専門家などにご相談のうえ、最新の公的情報をご確認ください。また、本記事内の数値は一般的な例や仮の試算であり、収益や成果を保証するものではありません。

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