「空き家を活用してみたいけれど、そもそもどこで物件を探せばいいのか分からない」「空き家バンクを見てみたものの、掲載が少なくて条件に合う物件がない」。空き家投資や空き家の活用を考え始めた人の多くが、最初にこの壁にぶつかります。
空き家は全国に数多くあると言われますが、その大半は売り物として市場に出ていません。つまり、一般的な不動産ポータルサイトを眺めているだけでは、出会える物件はごく一部です。この記事では、空き家バンク以外で空き家に出会うための6つのルートと、それぞれの探し方のコツ、注意点、ルートの組み合わせ方を整理します。空き家バンクそのものの使い方は別の記事で詳しく解説しているので、この記事では「それ以外の探し方」を中心にお伝えします。
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空き家探しは「市場に出ていない物件」をどう見つけるかが鍵
空き家の探し方を考える前に、空き家がなぜ見つけにくいのかを整理しておきましょう。理由が分かると、どのルートに力を入れればよいかが見えてきます。
多くの空き家は「売りに出ていない」
空き家の所有者の中には、「いずれ使うかもしれない」「片づけが大変で手をつけられない」「売れるとは思っていない」といった理由で、そのまま置いている人が少なくありません。相続で取得したものの、遠方に住んでいて管理だけを続けているケースもあります。こうした物件は、所有者が動かない限り、ポータルサイトにも空き家バンクにも載りません。
一方で、所有者自身も「固定資産税や草刈りの負担から解放されたい」「誰かに使ってもらえるなら手放したい」と考えていることがあります。売り物になっていない空き家でも、きっかけさえあれば話が進む可能性があるわけです。空き家探しで大切なのは、こうした「潜在的に手放したい物件」に、どうやって接点を持つかです。
価格が安い物件ほど広告されにくい
不動産会社の仲介手数料は、売買価格に応じて決まる仕組みが基本です。そのため、価格の安い空き家は、手間に比べて不動産会社の収入が少なくなりがちで、積極的に広告されないことがあります。ポータルサイトへの掲載にも費用がかかるため、安い物件ほど「店頭や知り合いへの紹介だけで終わる」こともあります。
このような事情から、空き家探しはインターネットの検索だけで完結しにくく、人とのつながりや現地での情報収集が大きな意味を持ちます。以下で紹介する6つのルートは、こうした「表に出にくい物件」に近づくための方法です。
空き家バンクは入口のひとつ
空き家バンクは、自治体が地域の空き家情報を集めて紹介する仕組みです。所有者が自治体に登録した物件が掲載されるため、地域の空き家を知る入口として役立ちます。ただし、掲載数は自治体によって大きく差があり、登録されている物件は「所有者が手放す意思を示したもの」に限られます。人気のある地域では、良い物件ほどすぐに話がまとまることもあります。
空き家バンクの探し方や問い合わせのコツ、利用条件の確認ポイントは、空き家バンクの使い方|物件の探し方と問い合わせのコツで詳しく解説しています。この記事では、空き家バンクを「入口のひとつ」と位置づけ、それと並行して使える6つのルートを紹介します。空き家バンクだけに頼らず、複数のルートを組み合わせることで、出会える物件の数と質が変わってきます。
ルート1:地元の不動産会社に相談する
最も基本的で、なおかつ見落とされがちなのが、物件のある地域の不動産会社に直接相談する方法です。特に、地域に根ざして長く営業している小さな不動産会社は、ポータルサイトに載せていない情報を持っていることがあります。
地元の不動産会社が持っている情報
- 所有者から「そろそろ処分したい」と相談を受けているが、まだ売り出していない物件
- 価格が安く、広告費をかけずに買い手を探している物件
- 相続の相談を受けている家や、管理を任されている空き家
- 地域の賃貸需要や、どのエリアなら借り手がつきやすいかという肌感覚
相談するときのコツ
不動産会社に「何か安い空き家はありませんか」とだけ伝えても、具体的な紹介にはつながりにくいものです。どんな物件を、何の目的で、どのくらいの予算で探しているのかを、具体的に伝えることが大切です。例えば「賃貸に出す目的で、駅から車で15分以内、築年数は問わず、多少の修繕は自分で手配する前提で、総額で○○万円以内の戸建てを探している」というように、条件と姿勢をはっきりさせると、担当者も物件を思い浮かべやすくなります。
また、「古くても構わない」「残置物があっても相談に乗る」「すぐに決めるとは限らないが、真剣に探している」といった姿勢を伝えると、扱いにくい物件の情報をもらえることがあります。一度の訪問で終わらせず、時々連絡を入れて関係を続けることも効果的です。複数の会社に相談する場合は、それぞれに誠実に対応し、紹介を受けた物件にはできるだけ早く返事をするよう心がけましょう。
ルート2:自治体の相談窓口・空き家対策の担当課を活用する
空き家バンク以外にも、自治体には空き家に関する相談窓口や担当課があることが多いです。名称は自治体によってさまざまですが、移住・定住の担当、住宅政策の担当、空き家対策の担当などが窓口になっています。
窓口で得られる情報
- 空き家バンクに掲載準備中の物件や、今後登録予定の物件の有無
- 空き家の改修や取得に関係する補助制度の有無(内容や条件は自治体ごとに違う)
- 地域の空き家相談会や、空き家活用に関するイベントの開催情報
- 地域で空き家活用に取り組んでいる団体や、協力している不動産会社の情報
自治体の担当者は、個々の空き家の所有者情報を勝手に教えることはできません。その点は理解したうえで、「この地域で空き家を活用したい」「賃貸住宅として再生したい」という目的を伝え、どんな制度や相談先があるのかを聞くのがよいでしょう。地域にとって空き家の放置は課題になっていることが多く、活用の意思がある人の相談は歓迎されやすい傾向があります。
なお、補助制度は年度ごとに内容が変わったり、予算に達すると受付が終わったりします。利用を考える場合は、必ず最新の情報を自治体に直接確認してください。改修の補助制度の探し方は空き家の改修に使える補助金・助成金と、自治体制度の探し方でまとめています。
ルート3:知人・地域のつながりから情報を得る
空き家の情報は、人づてに伝わることが少なくありません。「実家が空き家になって困っている」「親戚の家が誰も住んでいない」といった話は、日常の会話の中で意外と耳にするものです。
「空き家を探している」と周りに伝えておく
最も簡単なのは、友人・知人・同僚・家族などに「空き家を探している」「使っていない家があれば相談に乗れる」と伝えておくことです。空き家の悩みを抱えている人は、相談相手がいないまま問題を先送りしていることが多く、「引き取ってくれる人がいるなら」と声をかけてくれることがあります。
地域のキーパーソンとつながる
狙っている地域がある場合は、その地域の人とのつながりを作ることも有効です。地域の工務店やリフォーム業者、解体業者、司法書士、地元の商店、自治会の関係者などは、空き家の情報に触れる機会が多い立場です。例えば、修繕を依頼した工務店から「近所に誰も住んでいない家があって、持ち主が困っているらしい」と聞いて話が進むようなケースもあり得ます。
ただし、人づての話は、相手の信頼があって成り立つものです。紹介を受けたら、誠実に対応し、話が進まなかった場合も紹介者にお礼と経過を伝えましょう。地域での評判は、次の情報につながる大切な資産になります。
ルート4:現地を歩いて空き家を見つける
狙っている地域を実際に歩いたり、車で回ったりして、空き家らしい建物を見つける方法です。時間はかかりますが、売りに出ていない物件に出会える可能性があり、同時に地域の雰囲気や賃貸需要を肌で感じられるという利点があります。
空き家を見分けるサイン
- 郵便受けにチラシや郵便物がたまっている
- 雨戸やシャッターが長く閉まったままになっている
- 庭の草木が伸び放題になっている
- 電気メーターが動いていない、または取り外されている
- 夜になっても明かりがつかない
現地を歩くときのマナーと注意点
空き家に見えても、所有者が定期的に管理していたり、季節によって使っていたりすることがあります。敷地に無断で立ち入ったり、窓から中をのぞいたりするのは絶対にやめましょう。近隣の人から不審に思われるだけでなく、トラブルの原因になります。外から見える範囲で、建物の状態、道路との接し方、周辺の環境などを確認するにとどめます。
現地を回るときは、見つけた物件の場所と外観の特徴を記録しておくと、後で所有者を調べたり、不動産会社に相談したりするときに役立ちます。近所の人と自然に話す機会があれば、「この辺りで空き家を探している」と伝えてみるのもよいでしょう。ただし、他人の家庭事情を詮索するような聞き方は避けてください。
現地を歩くことには、物件探し以外の意味もあります。スーパーや学校、病院までの距離、駐車場の確保のしやすさ、周辺に賃貸住宅がどのくらいあるかといった情報は、賃貸として成り立つかどうかを判断するうえで欠かせません。家賃相場の調べ方は空き家の家賃相場の調べ方|地方の戸建て賃貸の需要を見極めるで解説しています。
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ルート5:所有者に直接問い合わせる
現地で見つけた空き家や、気になる物件の所有者に、直接連絡を取る方法です。うまくいけば売りに出る前の物件を取得できる可能性がありますが、相手にとっては突然の連絡になるため、進め方には十分な配慮が必要です。
所有者の調べ方の基本
土地や建物の所有者は、法務局で登記事項証明書を取得することで確認できるのが基本です。ただし、相続登記がされていないなど、登記上の所有者と実際の権利者が違う場合もあります。所有者の調べ方や登記事項証明書の取り方、連絡の進め方は、空き家の所有者を調べる方法|登記事項証明書の取り方と連絡の進め方で詳しく解説しています。
連絡するときに気をつけたいこと
- 手紙で丁寧に連絡し、突然の訪問や電話は避ける
- 自分が誰で、なぜ連絡したのか、物件をどう活用したいのかを正直に書く
- 売却や譲渡を急かさず、「もし手放す考えがあれば」という控えめな姿勢にする
- 返事がなくても何度も送りつけない
- 取得した個人情報は、目的以外に使わず適切に管理する
所有者から前向きな返事があった場合でも、個人間で取引を進めるときは、契約内容や登記手続き、境界、残置物の扱いなどで後からトラブルにならないよう注意が必要です。必要に応じて、司法書士や不動産会社など専門家の力を借りることを検討してください。
ルート6:不動産ポータル・マッチングサイトを使う
インターネットで空き家を探す方法も、もちろん有効です。一般的な不動産ポータルサイトに加え、近年は空き家や低価格の物件に特化したマッチングサイト、個人間で物件を譲りたい人と使いたい人をつなぐサービスなども見られるようになりました。
ポータルサイトで探すときのコツ
- 価格の上限を低めに設定し、「古家付き土地」として掲載されている物件も対象に含める
- 新着物件の通知を設定し、出てきたらすぐに確認できるようにする
- 長く掲載されたままの物件は、値下げ交渉の余地がないか不動産会社に相談する
- 掲載している不動産会社を確認し、その地域に強い会社を見つける手がかりにする
マッチングサイト・個人間取引の注意点
空き家のマッチングサイトや個人間の譲渡サービスでは、0円や非常に安い価格で物件が出ていることがあります。魅力的に見える一方で、建物の傷みが激しい、再建築ができない、残置物が大量に残っている、といった事情を抱えている物件も含まれます。掲載情報だけで判断せず、現地確認と権利関係の確認を必ず行いましょう。
また、個人間の取引では、仲介する不動産会社による重要事項の説明がないことがあります。契約書の内容や引き渡しの条件を自分で確認する必要があるため、分からない点は専門家に相談してください。0円物件ならではの注意点は0円物件は危険?後悔しやすいケースと契約前の見極め方で詳しく解説しています。
6つのルートを組み合わせる進め方
6つのルートには、それぞれ向き不向きがあります。どれかひとつに絞るよりも、自分の状況に合わせて組み合わせるほうが、出会いの機会は増えます。ここでは、ルートの特徴と、組み合わせ方の一例を紹介します。
ルートごとの特徴
- 地元の不動産会社:手間は少なめで、地域の情報も得られる。関係づくりに時間がかかる
- 自治体の窓口:制度や地域の取り組みが分かる。個別の物件紹介は限られる
- 知人・地域のつながり:売りに出ていない物件に出会える。いつ話が来るかは読めない
- 現地を歩く:地域の理解が深まる。時間と労力がかかる
- 所有者への直接の問い合わせ:競合が少ない。返事が来る割合は低く、配慮も必要
- ポータル・マッチングサイト:手軽で数を見られる。良い物件は競争になりやすい
組み合わせ方の一例
例えば、会社員として働きながら空き家を探す人であれば、次のような流れが考えられます。
- まず、通える範囲で狙う地域を2〜3か所に絞る
- ポータルサイトと空き家バンクで、その地域の価格帯と物件の傾向をつかむ
- 休日に現地を回り、地域の雰囲気と賃貸需要を確認する
- 同じ日に地元の不動産会社を訪ね、探している条件を伝える
- 自治体の窓口で、補助制度や相談会の情報を聞いておく
- 気になる空き家があれば、所有者を調べて丁寧に手紙を送る
- 周りの人にも「空き家を探している」と伝え、情報が入る状態を作る
このように、オンラインで全体像をつかみ、現地と人のつながりで具体的な物件に近づいていくのが基本の流れです。最初から完璧な物件を見つけようとせず、何件も見て比べることで、物件を見る目が養われていきます。
物件に出会ったら確認したいこと
どのルートで出会った物件でも、取得を決める前に確認すべきことは共通しています。安さや出会えた嬉しさで判断を急がず、次のような点を順番に確かめましょう。
- 権利関係:登記上の所有者と話している相手が一致しているか、共有者がいないか
- 再建築の可否:道路との接し方などから、将来建て替えができる土地か
- 建物の状態:雨漏り、シロアリ、基礎や柱の傷み、水回りの状態
- 残置物の量:片づけにどのくらいの手間と費用がかかりそうか
- 賃貸需要:その地域で借り手が見つかりそうか、家賃はいくらくらいか
- 取得後の費用:登記費用や税金、修繕費などの総額の目安
建物の状態を見るときは、空き家の内見チェックリスト|見ておきたい10のポイントを手元に置いて確認すると見落としを減らせます。再建築ができない土地は、0円でも取得後の選択肢が限られるため、特に慎重に確認してください。修繕費や登記費用、税金の扱いは物件や地域によって大きく変わるため、具体的な判断は専門家に確認することをおすすめします。
よくある質問
遠方に住んでいても空き家は探せますか?
ポータルサイトや空き家バンク、電話やメールでの不動産会社への相談は、遠方からでも進められます。ただし、建物の状態や周辺環境は現地で確認しないと分からないことが多く、取得後の管理も考える必要があります。最初は、定期的に通える範囲で探すほうが進めやすいでしょう。
どのルートから始めるのがおすすめですか?
一般的には、ポータルサイトや空き家バンクで地域の相場をつかみ、そのうえで地元の不動産会社に相談する流れが始めやすいと言えます。相場感がないまま相談すると、紹介された物件が妥当かどうか判断しにくいためです。並行して、周りの人に探していることを伝えておくと、思わぬところから情報が入ることがあります。
所有者に手紙を送っても失礼になりませんか?
丁寧な文面で、目的を正直に伝え、相手の判断を尊重する姿勢であれば、空き家の扱いに困っている所有者にとっては、むしろありがたい連絡になることもあります。一方で、売却を急かす書き方や繰り返しの連絡は、相手の負担になります。返事がない場合は、それが答えだと受け止めましょう。
0円で譲ってもらえる空き家は本当にありますか?
所有者が維持の負担から解放されたいと考えている場合などに、無償や非常に安い価格で譲られるケースはあります。ただし、取得時の登記費用や税金、修繕費など、物件価格以外の費用はかかります。仕組みと注意点は空き家を0円で手に入れる方法とは?仕組みと注意点を解説で解説しています。
まとめ
空き家の多くは売りに出ておらず、ポータルサイトや空き家バンクを見ているだけでは出会える物件が限られます。地元の不動産会社への相談、自治体の窓口の活用、知人や地域のつながり、現地を歩くこと、所有者への丁寧な問い合わせ、ポータルやマッチングサイトの活用という6つのルートを組み合わせることで、出会いの機会は大きく広がります。
そして、どのルートで出会った物件でも、権利関係、再建築の可否、建物の状態、賃貸需要、取得後の費用は必ず確認しましょう。焦らず、何件も見て比べながら、自分の目的と予算に合う物件を探していくことが、空き家活用の第一歩になります。
ゼロイエでは、空き家(主に戸建)を0円で取得し、貸すか売るかで収益を手にするための知識とノウハウを、全国的な会員組織を通じて学べる仕組みを提供しています。詳しくは会社概要やゼロイエとはのページをご覧ください。
あわせて読みたい(空き家起業家®椙田拓也のブログ)
【ご注意】
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件・個人に対する税務・法律・会計上の助言ではありません。税金・登記・法令・補助制度などは、物件の所在地や個別の状況、制度改正によって内容が異なります。実際の取引や運用にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・不動産の専門家などにご相談のうえ、最新の公的情報をご確認ください。また、本記事内の数値は一般的な例や仮の試算であり、収益や成果を保証するものではありません。
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