ゼロイエコラム

空き家投資の始め方|初心者が最初に踏む5つのステップ

山あいの住宅地で現地見学会に参加し、周辺環境を確認する人たち

空き家投資に興味はあるものの、「何から手をつければいいのか分からない」という方は少なくありません。物件を探すのが先なのか、資金を用意するのが先なのか、順番が見えないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。この記事では、初心者の方が最初に踏む手順を5つのステップに分け、それぞれで何を決め、何を確認するのかを整理します。

あわせて、ステップごとにつまずきやすい点や、1軒目を終えるまでにかかる期間の考え方、よくある質問もまとめました。読み終えたときに「次の週末に何をすればいいか」が分かる状態を目指しています。

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始める前に:空き家投資の全体像をつかむ

空き家投資は、使われていない家を安く取得し、必要な範囲で直して貸し出し、家賃収入を得る方法です。場合によっては、貸さずに売却して利益を確定させる選択肢もあります。株式や投資信託と違い、物件を探す、見る、交渉する、直す、貸すといった「手を動かす工程」が多いのが特徴です。

そのため、始め方の順番を間違えると、時間もお金も余計にかかります。よくあるのは、ポータルサイトで安い物件を見つけて気持ちが先に動き、資金の上限や修繕費の見込みを決めないまま問い合わせをしてしまうケースです。この記事で紹介する5つのステップは、その逆の順番、つまり「自分の条件→情報→現地→数字→取得と運営」という流れで進めるためのものです。

なお、戸建てで始めるか、一棟アパートなどで始めるかは、融資を使えるかどうかという属性と、使える時間で決まる面が大きいと考えています。この記事は、自己資金の範囲で戸建ての空き家から始める方を想定して書いています。

ステップ1:使える資金と時間の上限を決める

最初にやるのは物件探しではなく、自分の条件を決めることです。具体的には次の3つです。

  • 投入できる金額の上限:取得費だけでなく、修繕費・諸費用・当面の持ち出しまで含めた総額で考えます
  • 使える時間:平日に動けるのか、週末だけなのかで、探せる地域や進め方が変わります
  • 通える範囲:1軒目は、自分で足を運べる距離に絞ると判断を間違えにくくなります

この上限を先に決めておくと、物件を見たときに「買えるか買えないか」を迷わず判断できます。少額から始める場合の考え方は少額から始める不動産投資|自己資金を抑えて戸建てを持つ選択肢もあわせてご覧ください。

資金は「4つの箱」に分けて考える

上限を決めるときは、手元のお金を1つの塊で考えず、用途ごとに分けておくと計画が崩れにくくなります。

  1. 取得費:物件の価格。0円や少額で譲り受ける場合でも、ここが小さいだけで他の費用は発生します
  2. 諸費用:登記にかかる費用、取得にかかる税金、仲介手数料、測量や書類の取得費など
  3. 修繕費:貸せる状態にするための工事費と、残置物の片づけ費用
  4. 予備費:工事中に見つかる追加の不具合や、入居が決まるまでの固定資産税・光熱費などの持ち出し

特に見落とされやすいのが4つ目の予備費です。古い建物は、床や壁をはがして初めて分かる傷みがあります。予備費を確保しておけば、想定外の出費があっても工事を止めずに済みます。それぞれの金額は物件や地域で大きく変わるため、ここでは「4つに分けて考える」という枠組みだけ持っておいてください。

1軒目のゴールを言葉にしておく

「毎月の家賃収入を得たい」「将来の独立に向けて経験を積みたい」「まずは1軒を最後まで通してみたい」など、何のために始めるのかを一文で書いておくと、物件を選ぶ基準がぶれにくくなります。ゴールによって、選ぶべき地域や物件の状態も変わるためです。

例えば、毎月の収入を優先するなら賃貸の需要が確認しやすい地域を重視し、経験を積むことを優先するなら工事の規模が小さく通いやすい物件を選ぶ、といった違いが出てきます。家族がいる方は、この段階で始めることを共有し、使うお金と時間について理解を得ておくと、あとで動きやすくなります。

ステップ2:探す場所を決め、物件情報に触れ続ける

空き家の情報源は、不動産ポータルサイト、自治体の空き家バンク、地元の不動産会社、地域の人づてなど複数あります。1軒目から掘り出し物を探そうとせず、まずは情報に触れ続けて相場観を作ることが目的です。

空き家バンクは自治体ごとに掲載の仕方や物件の質が異なります。使い方と問い合わせのコツは空き家バンクの使い方|物件の探し方と問い合わせのコツにまとめています。市場に出ていない空き家にアプローチする場合は、空き家の所有者を調べる方法|登記事項証明書の取り方と連絡の進め方も参考になります。

情報源ごとの特徴

  • ポータルサイト:件数が多く、価格帯や家賃の相場をつかむのに向いています。一方で、条件の良い安い物件は早く決まる傾向があります
  • 空き家バンク:自治体が窓口となるため、地域に住む人や移住者向けの制度とセットになっていることがあります。利用条件を先に確認しておきます
  • 地元の不動産会社:ネットに載せる前の情報や、価格が低く扱いにくい物件の相談を持っている場合があります。何度か顔を出して、探している条件を具体的に伝えておくことが大切です
  • 地域の人づて:空き家の持ち主は、売り方が分からず放置していることも少なくありません。近所の方や地域の集まりから話が出てくることもあります

相場観は「記録」で作る

情報を眺めるだけでは、相場観はなかなか身につきません。気になった物件について、所在地、価格、築年数、土地と建物の広さ、周辺の家賃の募集例を簡単に書き留めておくと、数十件たまったころに「この地域でこの条件ならこのくらい」という感覚が持てるようになります。この記録は、ステップ4で収支を計算するときの材料にもなります。

問い合わせのときに伝えておくこと

気になる物件が見つかったら、問い合わせの段階で自分の立場と目的を簡潔に伝えると、話が進みやすくなります。例えば「自分で直して賃貸に出すことを考えている」「残っている家財の片づけもこちらで相談したい」「内見の際に施工業者を同行させたい」といった内容です。売主や窓口の担当者にとっても、相手が何を考えているかが分かると安心につながります。

あわせて、固定資産税の額、最後に人が住んでいた時期、水道や電気の契約状況、境界の確定の有無など、手元の資料で分かることを確認しておくと、現地に行く前に候補を絞り込めます。すぐに回答が得られない項目は、現地確認のときにあらためて聞けるようメモしておきましょう。

ステップ3:現地を見て、建物と土地を確認する

写真と現地では、印象が大きく異なります。においや湿気、床のきしみ、周辺の雰囲気は、行かないと分かりません。見るべき箇所をあらかじめ決めておくと、確認の抜けが減ります。

  • 建物:雨漏りの跡、床の傾き、シロアリの痕跡、水まわりの状態、屋根と外壁
  • 土地:前面道路の幅と接道、境界、擁壁、越境、私道かどうか
  • 周辺:生活利便施設、通学路、同じような賃貸がどのくらい出ているか

持ち物と確認項目は空き家の内見チェックリスト|見ておきたい10のポイントに一覧でまとめています。建物の状態に不安がある場合は、この段階で施工業者に同行してもらうと、修繕費の見通しが立ちます。

現地確認とあわせて役所でも確認する

建物は目で見て判断できますが、土地の条件は書類や役所の窓口でないと分からないことがあります。前面道路が建築基準法上の道路に当たるか、用途地域や区域区分はどうなっているか、上下水道が引き込まれているかといった点は、取得を決める前に確認しておきたい項目です。窓口の名称や確認の方法は自治体によって異なるため、分からなければ窓口で「この地番の土地について確認したい」と相談すると案内してもらえることが多いです。

売主や近所の方から聞いておきたいこと

いつから空き家なのか、雨漏りや水漏れの経験はあるか、残っている家財をどうするつもりか、といった点は、売主に直接聞くと分かることがあります。近所の方に地域の様子を聞けると、賃貸の需要や生活のしやすさを知る手がかりになります。聞いた内容はその場でメモしておきましょう。

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ステップ4:収支を計算し、買うかどうかを決める

ここで初めて数字を詰めます。確認する順番は次のとおりです。

  1. 周辺の家賃相場から、貸せそうな家賃を見積もる
  2. 取得価格+修繕費+諸費用(登記・税金・仲介手数料など)の総額を出す
  3. 家賃から管理費・固定資産税・将来の修繕分を引いた手残りを計算する
  4. 空室期間を見込んでも成り立つかを確認する

計算方法は利回りの計算方法|表面利回りと実質利回りの違い、取得時にかかる費用は空き家を取得したときにかかる税金と登記費用まとめをご覧ください。数字が合わなければ見送る、という判断も立派な結論です。

数字は「厳しめ」に置く

初心者のうちは、どうしても見積もりが楽観的になりがちです。そこで、家賃は周辺の募集例より少し低めに、修繕費は見積もりより多めに、空室期間は長めに置いて計算してみることをおすすめします。その条件でも手残りが出るなら、多少の想定違いがあっても大きく崩れにくい物件だと判断できます。

例えば、周辺の似た戸建てが一定の家賃帯で募集されているケースで、その下限で貸すと仮定して計算し、さらに入居まで数か月かかると見込む、といった考え方です。こうして「悪い場合」で成り立つかを確かめておけば、物件への思い入れで判断を曲げずに済みます。

見送る基準も先に決めておく

「修繕費の見積もりが上限を超えたら見送る」「周辺に賃貸の募集がほとんどなければ見送る」「土地の条件に確認しきれない点が残れば見送る」というように、やめる基準を決めておくと、気持ちが先走ったときの歯止めになります。物件との出会いは一度きりではありません。見送った経験も、次の判断の材料になります。

利回りの数字より「手残り」と「回収の見通し」を見る

取得価格が極端に安い物件は、表面利回りが非常に高く見えることがあります。しかし、修繕費や諸費用を含めた総額で割り直すと、印象は大きく変わります。判断の軸にしたいのは、毎月いくら手元に残るのか、そして投入した総額を何年くらいで回収できそうかという2点です。回収の見通しが立つ物件であれば、途中で想定外の出費があっても立て直しやすくなります。

ステップ5:取得し、直して、貸し出す

契約と登記、残置物の片づけ、修繕、入居者募集と進みます。それぞれの段階で、関わる相手が変わります。登記は司法書士、修繕は施工業者、募集は不動産会社というように、任せる先を把握しておくと動きが速くなります。

修繕は、入居に必要な範囲から着手するのが基本です。線引きの考え方は賃貸に出す前にどこまで直す?必要最小限のリフォームの考え方にまとめています。

契約と登記で気をつけたいこと

個人間で譲り受ける場合は、仲介の不動産会社が入らないこともあります。その場合でも、売買か贈与か、残置物の扱い、引き渡しの時期、境界の扱いなどを書面に残しておくことが大切です。所有権の移転登記は、自分で申請することもできますが、書類に不備があると手続きが進まないため、不安があれば司法書士に依頼すると安心です。取得の形によってかかる税金も変わるため、事前に税務署や税理士に確認しておきましょう。

残置物の片づけは早めに段取りする

空き家には、家具や家電、衣類、仏壇などの家財が残っていることがよくあります。片づけが終わらないと工事に入れないため、取得の前後で誰がどこまで片づけるのかを売主と取り決めておくことが大切です。自分で分別して自治体の回収に出す方法もあれば、専門の業者に依頼する方法もあります。費用は量や地域で大きく変わるため、複数の業者から見積もりを取って比べると安心です。思い出の品や書類など、売主が引き取りたいものがないかも、作業前に必ず確認しておきましょう。

工事と募集は並行して準備する

工事が終わってから募集の準備を始めると、その分だけ空室期間が延びます。工事の終わりが見えた段階で、不動産会社に募集条件を相談し、完成後すぐに写真を撮って掲載できるよう段取りしておくと、家賃が入るまでの期間を短くできます。ペット可や駐車場の台数など、戸建てならではの条件は、周辺の競合と差をつける材料になります。

入居後に必要になること

入居が決まったあとも、設備の故障への対応、家賃の入金確認、更新や退去の手続きなど、大家としての仕事は続きます。管理会社に任せるか自分で対応するかを決め、家賃収入が入ったら確定申告が必要になる場合があることも覚えておいてください。

最初の1軒で意識したいこと

1軒目の目的は、大きく儲けることではなく、一連の流れを自分で経験することです。探し方、見方、交渉、工事の手配、募集の出し方を一度通せば、2軒目からの判断は格段に速くなります。そのためにも、失敗しても次に進める金額に抑えておくことが大切です。よくあるつまずきは空き家投資で失敗しやすい7つのパターンと避け方や戸建て賃貸経営の失敗事例|空室・修繕・出口でつまずく理由で先に知っておくと安心です。

また、1軒目で関わった施工業者や不動産会社、司法書士とのつながりは、2軒目以降の大きな財産になります。対応が早かった業者、説明が分かりやすかった担当者などを記録しておくと、次の物件で相談先を探す手間が省けます。

専門家に相談するタイミング

すべてを自分で判断しようとせず、分野ごとに専門家の力を借りることも大切です。目安としては次のような場面です。

  • 建物の傷みや修繕の範囲が判断できないとき:施工業者やリフォーム会社
  • 権利関係や登記の手続きに不安があるとき:司法書士
  • 取得や家賃収入にかかる税金が分からないとき:税務署や税理士
  • 土地の条件や地域の制度を確認したいとき:自治体の担当窓口

取得を決める前に相談しておけば、あとから大きな問題が見つかって身動きが取れなくなる事態を避けやすくなります。

5つのステップでつまずきやすいポイント

各ステップで起こりやすいつまずきを、まとめて確認しておきましょう。

  • ステップ1:取得費だけで上限を決めてしまい、修繕費や予備費が足りなくなる
  • ステップ2:ポータルサイトだけを見て「良い物件がない」と判断し、探す範囲を広げない
  • ステップ3:建物ばかり見て、接道や境界などの土地の条件を確認しない
  • ステップ4:表面利回りの高さだけで判断し、空室や修繕を見込まない
  • ステップ5:工事の範囲を広げすぎて、費用と時間が膨らむ

どれも、手順を飛ばしたり順番を入れ替えたりしたときに起こりやすいものです。迷ったときは、今どのステップにいるのかを確認し、前のステップで決めた条件に立ち返ると判断しやすくなります。

よくある質問

自己資金はどのくらい必要ですか?

物件の価格と状態によって大きく変わるため、一律の金額は示せません。取得価格だけでなく修繕費と諸費用を含めた総額で考え、その範囲に収まる物件を探す、という順番がおすすめです。

宅建の資格は必要ですか?

自分が所有する物件を貸し出すだけであれば、宅地建物取引業の免許は必要ありません。ただし、売買を反復継続して行う場合などは扱いが異なるため、判断に迷う場合は専門家にご確認ください。

会社員のまま始められますか?

始めている方はいます。平日の対応が必要な場面もあるため、就業規則を確認したうえで、無理のない範囲で進めてください。詳しくは会社員が副業で空き家投資を始めるには?会社への影響と注意点をご覧ください。

1軒目を貸し出すまで、どのくらいの期間がかかりますか?

物件に出会うまでの期間、工事の規模、地域の需要によって大きく変わります。条件に合う物件がすぐ見つかる場合もあれば、数か月から1年以上探し続ける場合もあります。期間を区切って焦るより、ステップ2の情報収集を続けながら、条件に合う物件を待つ姿勢のほうが結果的に失敗が少なくなります。

どの地域で探すのがよいですか?

一概には言えませんが、1軒目は自分が通える範囲で、賃貸の需要があることを確認できる地域から考えるのが無難です。価格の安さだけで遠方の地域を選ぶと、現地確認や工事の立ち会いが難しくなり、判断を誤りやすくなります。

まとめ

空き家投資の始め方は、「条件を決める→情報に触れる→現地を見る→数字で判断する→取得して貸す」という順番です。物件探しから入るのではなく、自分の上限を決めるところから始めると、迷いが少なくなります。始める前に不安がある方は空き家投資はやめとけと言われる理由|それでも取り組む人が見ている条件も目を通しておくとよいでしょう。仕組みの全体像は空き家を0円で手に入れる方法とは?仕組みと注意点を解説もあわせてご覧ください。

まずは今週、ステップ1の「4つの箱」に分けて使える金額を書き出し、ステップ2の情報収集を始めるところから動いてみてください。小さく始めて一連の流れを経験することが、2軒目以降の判断の精度を上げる一番の近道です。

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あわせて読みたい(空き家起業家®椙田拓也のブログ)

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【ご注意】

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件・個人に対する税務・法律・会計上の助言ではありません。税金・登記・法令・補助制度などは、物件の所在地や個別の状況、制度改正によって内容が異なります。実際の取引や運用にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・不動産の専門家などにご相談のうえ、最新の公的情報をご確認ください。また、本記事内の数値は一般的な例や仮の試算であり、収益や成果を保証するものではありません。

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