ゼロイエコラム

空き家の家賃相場の調べ方|地方の戸建て賃貸の需要を見極める

ノートパソコンで物件情報を調べる手元

空き家を賃貸に出すとき、いくらで貸せるかは収支を左右する最も重要な要素です。取得前に家賃相場と需要を調べておくことで、失敗のリスクを減らせます。この記事では、家賃相場の調べ方と、地方の戸建て賃貸で見ておきたい需要のポイントを解説します。

地方の戸建て賃貸は、都市部のアパートやマンションに比べて募集されている件数が少なく、ポータルサイトを見ただけでは相場がつかみにくいことがあります。そこで、比べる物件の選び方、募集家賃と成約家賃の違い、地元の不動産会社への聞き方、需要の強さを見極める視点まで、順を追って整理しました。

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なぜ取得前に家賃相場を調べるのか

空き家を賃貸に出す場合、収入の柱は家賃です。取得にかかる費用、リフォームの費用、毎年の固定資産税や保険料などは、すべて家賃で回収していくことになります。そのため、家賃をいくらに設定できるかが分からないまま取得すると、「直してみたら思ったより安くしか貸せなかった」「募集しても入居者が決まらない」といった事態になりかねません。

家賃相場が分かれば、リフォームにどこまで費用をかけられるか、何年で回収できそうかといった判断の基準ができます。取得価格が0円や低価格の物件でも、この点は変わりません。むしろ、取得価格が安い物件ほど、修繕費と家賃のバランスで収支が決まるため、相場の見極めが大切になります。

また、相場を調べる過程で、そのエリアにどれくらい賃貸の需要があるかも見えてきます。家賃の水準だけでなく、「そもそも借りたい人がいる地域か」を確かめることが、取得するかどうかの判断材料になります。

相場を調べるときに陥りやすい思い込み

  • 「都市部の感覚」で考えてしまう:普段住んでいる地域の家賃の感覚で判断すると、地方の相場を高く見積もりがちです。必ず物件の所在地で調べましょう。
  • 「戸建てだから高く貸せる」と考える:戸建ては広さの割に家賃が抑えめな地域もあります。広さだけでなく、その地域で実際に払われている金額を確かめることが大切です。
  • 売主や仲介の説明をそのまま使う:「このくらいで貸せますよ」という話は参考になりますが、自分でも相場を調べて、根拠を確かめておくと安心です。
  • 1件の例だけで決める:たまたま見つけた1件の家賃は、条件が特殊な場合もあります。複数の物件を比べて、幅で捉えましょう。

家賃相場の調べ方

  1. 賃貸ポータルサイトで検索する:同じエリア、似た間取り・築年数の戸建て賃貸の募集家賃を確認します。
  2. 募集期間を見る:長期間掲載されたままの物件は、家賃が高すぎる、または需要が弱い可能性があります。
  3. 地元の不動産会社に聞く:実際の成約家賃や、入居者の傾向を教えてもらえます。
  4. 複数の情報を比べる:1件だけで判断せず、複数の物件を比較します。

ポータルサイトで検索するときのコツ

賃貸ポータルサイトでは、まず物件の所在地と同じ市区町村、または同じ学区や生活圏に絞って、「一戸建て」の条件で検索します。地方では該当する件数が少ないことも多いため、最初は条件を広めにとり、少しずつ絞り込んでいくと全体の傾向がつかみやすくなります。

  • エリア:同じ市区町村から始め、件数が少なければ隣接する地域まで広げる。ただし、駅や中心部からの距離が大きく違う物件は分けて考える
  • 間取り・広さ:3DKや4DKなど、物件と近い部屋数のものを中心に見る
  • 築年数:築年数の古い物件を含めて表示し、古い物件がいくらで募集されているかを確認する
  • 駐車場・ペット:駐車可能台数やペット可などの条件で家賃がどう変わるかを見る

戸建ての募集が少ない地域では、アパートの2DKや3DKなど、同じ世帯が住みそうな間取りの家賃も参考になります。戸建てを探している人は、近い家賃帯のアパートと比べて検討することが多いためです。ただし、アパートと戸建てでは、広さや駐車場、庭の有無、近隣との距離感などが異なります。アパートの家賃はあくまで比較の材料として使い、そのまま戸建ての家賃に当てはめないよう注意しましょう。

比べた結果をメモに残す

見つけた物件は、所在地のおおまかな場所、間取り、広さ、築年数、駐車台数、募集家賃、管理費や共益費の有無、掲載されている期間などを一覧にしておきます。5件、10件と並べてみると、「築年数が古くても、駐車場が2台あれば家賃が下がりにくい」「中心部から離れると家賃が下がる」といった、そのエリアならではの傾向が見えてきます。一定期間をあけて同じ条件で検索し直すと、どの物件が決まり、どの物件が残っているかも分かります。早く掲載が消えた物件の条件と家賃は、そのエリアで「決まりやすい水準」を知る手がかりになります。反対に、何か月も残り続けている物件は、家賃か条件のどこかに無理がある可能性があり、自分の家賃設定の参考として注意して扱います。

募集家賃と成約家賃の違い

ポータルサイトの掲載家賃は「募集時の希望額」であり、実際に成約した家賃とは異なることがあります。地元の不動産会社に成約家賃を確認すると、より現実に近い相場が分かります。

募集家賃は、貸主が「この金額で貸したい」と考えて設定した金額です。入居希望者との交渉で家賃が下がったり、なかなか決まらずに途中で値下げされたりすることもあります。また、ポータルサイトに長く残っている物件は、周辺の相場より高めに設定されている可能性があります。反対に、相場に合った物件や条件の良い物件は早く決まってしまい、サイト上に残りにくいため、掲載中の物件だけを見ると相場を高めに見積もってしまうことがあります。

こうしたずれを補うために、成約した家賃の情報を持っている地元の不動産会社に話を聞くことが大切です。ポータルサイトで調べた募集家賃は「上限に近い目安」、不動産会社から聞く成約家賃は「現実的な目安」として、両方を並べて考えるとよいでしょう。

地元の不動産会社への聞き方

地方の戸建て賃貸の相場や需要は、その地域で賃貸の仲介や管理をしている不動産会社が最もよく知っています。取得前の段階でも、「この物件を取得して貸すことを検討している」と伝えれば、相談に乗ってもらえることがあります。将来、入居者の募集を依頼する可能性のある会社として、早めに関係を作っておくのも一つの考え方です。相談するときは、こちらの状況や検討の段階を正直に伝え、相手の時間をいただいていることへの配慮も忘れないようにしましょう。

聞いておきたい質問の例

  • この地域で、同じくらいの広さの戸建ては、いくらくらいで決まることが多いか
  • 戸建てを探しているのは、どんな人が多いか(ファミリー、単身者、転勤者、高齢の方など)
  • 募集を始めてから入居が決まるまで、どのくらいの期間がかかることが多いか
  • 決まりやすい物件と、決まりにくい物件の違いは何か
  • 駐車場の台数、ペット可、和室の有無などの条件で、反応がどう変わるか
  • 貸し出す前に、最低限どこを直しておいたほうがよいか

1社だけの意見に頼らず、2〜3社に話を聞くと、相場の幅や見方の違いが分かります。会社によって得意な物件の種類や客層が異なることもあるため、戸建ての賃貸を扱った経験があるかどうかも聞いておくとよいでしょう。物件の写真や間取りの分かる資料を持参すると、より具体的な意見をもらいやすくなります。

家賃に影響しやすい物件の条件

周辺の相場が分かったら、自分の物件がその中のどのあたりに位置するかを考えます。同じエリアでも、物件の条件によって家賃は上下します。比べた物件と自分の物件を、次のような点で見比べてみましょう。

駐車スペースと前面道路

車での移動が中心の地域では、駐車できる台数が家賃や決まりやすさに影響しやすい条件です。比べた物件が2台分の駐車スペースを備えているのに、自分の物件は1台分しかない場合は、その分を割り引いて考える必要があります。前面道路が狭く車の出し入れがしにくい場合も、同じように見ておきましょう。

水回りの設備とトイレの方式

浴室の追い焚き機能、温水洗浄便座、独立した洗面所の有無などは、入居者が比べやすい設備です。トイレが汲み取り式か水洗かは、地域によっては決まりやすさに大きく影響します。古い設備のまま貸す場合は、新しい設備の物件より家賃を低めに見込むのが現実的です。

間取り・築年数・室内の状態

部屋数や収納の量、和室と洋室の割合、日当たりなども家賃を左右します。築年数が古くても、室内がきれいに整えられていれば、相場の中で不利になりにくいこともあります。反対に、比べた物件がリフォーム済みで、自分の物件は最小限の手直しで貸す予定なら、その差を家賃に反映させて考えましょう。自分の物件の良い点と弱い点を書き出し、比べた物件の家賃から上下させる形で目安を決めると、根拠のある家賃設定がしやすくなります。

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地方の戸建て賃貸で見ておきたい需要

  • 駐車場の台数:車社会の地域では、2台以上の駐車スペースが求められることが多いです。
  • 周辺の勤務先・学校・病院:通勤・通学の便が需要に影響します。
  • ファミリー層の有無:戸建ては、主にファミリー世帯が中心となります。
  • 同様の物件の空室状況:周辺の戸建て賃貸が、どのくらい入居しているかを見ます。

需要の手がかりになる周辺の情報

需要の強さは、家賃の数字だけでは分かりません。物件の周辺にどんな施設や働く場所があるかを見ると、誰が借りてくれそうかを想像しやすくなります。

  • 工場、物流拠点、病院、介護施設など、人が多く働く場所が近くにあるか
  • 小学校や中学校、保育園が通える距離にあるか
  • スーパーやドラッグストアなど、日常の買い物ができる店が近くにあるか
  • 幹線道路やインターチェンジへの出やすさ
  • 周辺で新しい住宅や店舗が建っているか、反対に空き家や空き店舗が増えているか

自治体が公表している人口や世帯数の推移も、地域の大きな流れをつかむ参考になります。人口が減っている地域でも、生活に便利な中心部や、働く場所に近いエリアには需要が残っていることがあります。市区町村全体の数字だけで判断せず、物件の周辺がどんな場所なのかを、現地を歩いて確かめることが大切です。現地での確認の仕方は、空き家の内見チェックリスト|見ておきたい10のポイントも参考にしてください。

需要が弱いかもしれないサイン

  • 同じエリアで、長いあいだ募集が出たままの戸建てやアパートが多い
  • 不動産会社に聞いても、戸建てを探している人の話がほとんど出てこない
  • 車がないと生活が難しいのに、駐車スペースを確保できない
  • 近くの働く場所や店舗が、撤退・閉店している

これらに当てはまる場合でも、すぐに貸せないと決まるわけではありませんが、家賃を低めに見込む、空室期間を長めに見込むなど、慎重な収支計画が必要になります。賃貸で収支が合いにくい場合は、売却という選択肢と比べて考えることもできます。判断の考え方は、空き家は「貸す」か「売る」か?判断基準を整理で解説しています。

相場より高く貸せる可能性があるケース

周辺に戸建ての賃貸が少ない地域では、ファミリー向けの選択肢が限られるため、需要が見込める場合があります。ただし、地域によって事情が異なるため、実際の反響を見ながら家賃を調整することが必要です。

このほか、ペットと一緒に住める、庭や家庭菜園のスペースがある、駐車場が広いなど、アパートでは得にくい条件がそろっている場合も、それを求める人にとっては魅力になります。例えば、周辺にペット可の賃貸がほとんどない地域で、ペット可として募集するようなケースでは、条件に合う人から反応が得られることがあります。ただし、ペット可にする場合は、退去時の原状回復や近隣への配慮など、事前に決めておくことが増える点にも注意しましょう。

反対に、相場より高い家賃を付けたまま反響がない状態が続くと、空室の期間が延びて、結果として収入が減ってしまいます。「相場より高く貸せるかもしれない」という期待は、収支計画の前提には置かず、相場どおり、あるいは少し下回る家賃でも成り立つかを先に確認しておくのが安全です。

調べた相場を収支計画に落とし込む

相場が分かったら、その家賃で収支が成り立つかを試算します。ここでは、数字の考え方の流れを紹介します。

  1. 調べた相場をもとに、「現実的な家賃」と「低めに見た家賃」の2つを決める
  2. 1年分の家賃収入から、空室になる期間の分を差し引く
  3. 固定資産税、火災保険、管理を任せる場合の手数料、入居後の修繕費などを差し引く
  4. 残った金額で、取得とリフォームにかかった費用を何年で回収できるかを確認する

「低めに見た家賃」でも回収の見通しが立つなら、計画に余裕があると考えられます。反対に、相場どおりの家賃でぎりぎりという場合は、リフォームの範囲を見直す、取得条件を交渉する、といった検討が必要です。利回りの計算の仕方は、利回りの計算方法|表面利回りと実質利回りの違いで整理しています。どこまで直すかの考え方は、賃貸に出す前にどこまで直す?必要最小限のリフォームの考え方をご覧ください。

家賃の幅で試算する理由

相場を1つの金額で決めてしまうと、実際の家賃がそれを下回ったときに計画が崩れてしまいます。例えば、比べた物件の家賃にある程度の幅があるようなケースでは、その幅の中ほどを「現実的な家賃」、下のほうを「低めに見た家賃」として、2通りの試算をしておくと安心です。どちらの数字でも計画が成り立つかを確かめておけば、募集を始めてから家賃を調整することになっても、慌てずに対応できます。表面的な利回りだけで判断しない考え方は、空き家投資の利回りの目安は?表面利回りだけで判断しない考え方でも解説しています。

家賃以外の募集条件もあわせて考える

入居者は、月々の家賃だけでなく、入居時にかかる初期費用も含めて物件を比べます。敷金や礼金をいくらにするか、入居後の一定期間の家賃を無料にする条件を付けるかどうかなど、家賃以外の条件で決まりやすさが変わることもあります。家賃を下げると毎月の収入がずっと減りますが、入居時の条件を調整する方法なら、影響を一時的なものにとどめられる場合があります。どの条件が地域で一般的かは、不動産会社に確認しておきましょう。

よくある質問

近くに戸建ての賃貸が1件も見つかりません。どうすればよいですか?

地方ではよくあることです。検索するエリアを隣の地域まで広げる、同じ世帯が住みそうなアパートの家賃を参考にする、地元の不動産会社に過去の成約例を聞く、といった方法で目安をつけます。戸建ての募集が少ないこと自体は、競合が少ないという意味で有利に働く場合もありますが、需要があるかどうかは不動産会社の意見も含めて慎重に確かめましょう。

遠方の物件で、現地の不動産会社を訪ねられない場合は?

電話やメールで相談に応じてくれる不動産会社もあります。物件の所在地、間取り、写真などを送り、相場や需要について意見を聞いてみましょう。離れた物件の運営の考え方は、遠方の空き家は賃貸に出せる?離れた物件の運営の考え方で解説しています。

家賃はいつ決めればよいですか?

取得前に目安を決めておき、リフォームが終わって募集を始める段階で、改めて最新の相場と照らし合わせて最終的に決めるのが一般的です。取得から募集までに時間がたつと、周辺の募集状況が変わっていることもあります。募集の方法については、戸建て賃貸の入居者募集のコツ|ポータルサイトと不動産会社の使い分けをご覧ください。

募集を始めてから反応がない場合は、家賃を下げるべきですか?

まずは、問い合わせや内見の数、内見した人の感想を不動産会社に確認し、原因を探ります。問い合わせ自体が少なければ家賃や募集の出し方、内見はあるのに決まらなければ物件の状態や条件に原因があることが考えられます。原因に合わせて、家賃の見直し、写真や紹介文の改善、一部の手直しなどを検討しましょう。

時期によって相場や反応は変わりますか?

転勤や進学、就職などで引っ越しが増える時期は、問い合わせが増えやすいと言われています。一方で、地域や物件の種類によって動きは異なります。募集を始める時期の傾向は、地元の不動産会社に聞いておくと、家賃の設定や募集の開始時期を考える参考になります。

まとめ

家賃相場は、ポータルサイトの掲載家賃と、地元の不動産会社の情報を組み合わせて調べます。募集家賃は上限に近い目安、成約家賃は現実的な目安として並べ、周辺の働く場所や生活環境から需要の強さも確かめましょう。取得前に相場と需要を確認し、低めに見た家賃でも成り立つかを試算しておけば、収支の見通しが立てやすくなります。相場の調査は一度で終わりではなく、募集を始める前にもう一度確認し、最新の状況に合わせて家賃を決めることが大切です。

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本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件・個人に対する税務・法律・会計上の助言ではありません。税金・登記・法令・補助制度などは、物件の所在地や個別の状況、制度改正によって内容が異なります。実際の取引や運用にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・不動産の専門家などにご相談のうえ、最新の公的情報をご確認ください。また、本記事内の数値は一般的な例や仮の試算であり、収益や成果を保証するものではありません。

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