空き家を0円で取得できても、税金や登記にかかる費用まで0円になるわけではありません。「取得したあとに思わぬ出費があった」という事態を避けるには、どんな費用がいつ発生するのかを事前に把握しておくことが大切です。この記事では、空き家を取得するときに関わる主な税金と登記費用の全体像を整理します。
取得のとき、持ち続けている間、手放すときの3つの段階に分けて、どんな税金や費用が関わるのか、登記でつまずきやすい点はどこか、専門家に相談する前に何を準備しておけばよいのかを順に解説します。税金や登記の扱いは、取得の方法や物件の所在地、個別の事情、制度の改正によって変わります。この記事は全体像をつかむためのものとして読み、実際の金額や手続きは、税務署・税理士・司法書士・自治体などに必ず確認してください。
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費用は「取得時」「保有中」「手放すとき」の3段階で考える
空き家に関わる税金や費用は、発生するタイミングで分けて考えると整理しやすくなります。
- 取得時:名義を移す登記の費用、取得したことに対してかかる税金など、一度だけ発生するもの
- 保有中:固定資産税などの毎年かかる税金と、貸し出した場合の所得にかかる税金
- 手放すとき:売却して利益が出た場合の税金、売買や名義変更に伴う登記の費用など
0円取得の検討では、取得時の費用ばかりに目が向きがちですが、毎年かかる税金や、将来手放すときの扱いまで視野に入れておくと、資金計画の見通しが立てやすくなります。修繕費なども含めた収支全体の考え方は、空き家0円取得は本当に儲かる?初期費用と収支の目安で解説しています。
取得時にかかる主な費用・税金
取得の方法(売買・贈与など)や物件の状況によって扱いが異なるため、あくまで一般的な整理としてご覧ください。
- 登録免許税:所有権移転登記をするときに課税されます。固定資産税評価額などをもとに計算され、登記の原因(売買、贈与、相続など)によって税率が異なります。
- 司法書士報酬:登記を司法書士に依頼する場合の報酬です。依頼先や物件の数、権利関係の複雑さによって金額が変わります。
- 不動産取得税:不動産を取得したときに、原則として一度だけ都道府県から課税されます。評価額が一定額に満たない場合などは課税されないこともあるため、事前に確認が必要です。
- 贈与に関する税金:無償で譲り受けた場合、取得の形態や取得する人(個人か法人か)によって、贈与税や法人の受贈益にかかる税金の対象となる可能性があります。
- 固定資産税の精算:年の途中で取得した場合、前の所有者との間で、その年の固定資産税を日割りで精算する慣行があります。
登録免許税は「評価額」と「登記の原因」で変わる
登録免許税は、取引した金額ではなく、固定資産税評価額などをもとに計算されるのが一般的です。そのため、0円で譲り受けた場合でも、土地や建物に評価額があれば税金がかかります。また、売買なのか贈与なのかといった登記の原因によって税率が異なり、軽減の措置が設けられている場合もあります。正確な税額は、固定資産税の評価証明書などをもとに、司法書士や法務局で確認するのが確実です。
司法書士に依頼するか、自分で登記するか
登記は自分で申請することも制度上は可能ですが、書類の不備があると手続きが進まず、権利関係に問題が残るおそれもあります。特に、相続が絡む物件や、抵当権などが残っている物件は、手続きが複雑になりがちです。報酬はかかりますが、権利関係を確実に整えるという意味で、司法書士への依頼を検討する価値は十分にあります。依頼する前に、見積もりで報酬と実費の内訳を確認しておきましょう。
不動産取得税は後から通知が届く
不動産取得税は、取得してしばらくたってから都道府県から納税通知が届くのが一般的です。取得直後には請求がないため、存在を忘れて資金を修繕に使い切ってしまうと、後から慌てることになりかねません。課税されるかどうか、軽減の対象になるかどうかは物件や条件によって異なるため、取得前に都道府県の税事務所などに確認し、必要な額を取り分けておくと安心です。
0円で譲り受けるときの税金は特に要確認
無償や著しく低い価格で不動産を譲り受けると、取得した側に税金の負担が生じる場合があります。個人が個人から譲り受けるのか、法人が譲り受けるのか、譲る側が個人か法人かによって、関わる税金の種類や考え方が変わります。また、譲る側にも税金の扱いが生じることがあります。0円取得ならではの論点なので、契約の前に税理士や税務署へ相談し、双方にとって無理のない形かを確認しておきましょう。
取得後にかかり続ける税金
- 固定資産税・都市計画税:毎年1月1日時点の所有者に課税されます。住宅が建っている土地には軽減の特例がありますが、空き家の管理状況によっては特例が適用されなくなるおそれがあります。
- 所得税・住民税:物件を貸して得た家賃収入は、一般に不動産所得として申告の対象になります。売却した場合は、譲渡所得として扱われるのが一般的です。
- 法人で保有する場合:法人税などの対象になります。個人と法人で税金の考え方が異なるため、どちらで取得するかも検討が必要です。
空き家の管理状況と固定資産税
住宅が建っている土地の固定資産税には軽減の特例がありますが、管理が行き届かず、倒壊のおそれや衛生面の問題がある空き家として自治体から指導や勧告を受けると、特例の対象から外れる場合があります。取得した空き家を長く放置しないことは、近隣への配慮だけでなく、税負担の面でも大切です。取得を検討している物件が、すでに自治体から何らかの指導を受けていないかも、所有者や自治体に確認しておきましょう。
貸し出したあとの確定申告
家賃収入を得るようになると、一般に不動産所得として確定申告が必要になります。修繕費や固定資産税、保険料などを経費として計上できる場合がありますが、修繕の内容によっては一度に経費にできず、数年に分けて計上する扱いになることもあります。領収書や契約書は取得の段階から整理して保管しておきましょう。申告の基本は戸建て賃貸の確定申告|不動産所得の基本と経費の考え方で解説しています。会社員の方が住民税の扱いを気にされる場合は、空き家投資の副業は会社にバレる?住民税と確定申告から考えるもあわせてご覧ください。
手放すときに関わる税金と費用
取得の段階では先の話に思えますが、将来売却するときの扱いも、取得時の判断に影響します。出口まで含めて考えておくと、計画のずれを防ぎやすくなります。
売却益にかかる税金
個人が不動産を売却して利益が出た場合、一般に譲渡所得として所得税・住民税の対象になります。利益は、売却価格から取得にかかった費用や売却にかかった費用などを差し引いて計算するのが基本です。0円で取得した物件の場合、取得の費用として何をどう扱えるかは個別の判断になるため、取得時の登記費用や修繕費の領収書を保管しておくことが大切です。また、所有していた期間によって税率が変わる仕組みがあるため、売却の時期を検討する際は税理士に確認しましょう。
売却時にかかりやすい費用
- 仲介手数料:不動産会社に売却を依頼した場合に支払う報酬です。
- 登記の費用:抵当権を設定していた場合の抹消登記や、住所変更の登記などが必要になることがあります。
- 測量・境界確認の費用:買主から境界の確認を求められた場合、土地家屋調査士による測量などが必要になることがあります。
- 契約書の印紙税:売買契約書の内容によっては、印紙税がかかります。
特に、境界がはっきりしない土地は、売却の段階で測量や隣地との確認に時間と費用がかかることがあります。取得時に境界標の有無や、隣地との間でもめごとがないかを確認しておくと、将来の負担を減らせます。貸すか売るかの考え方は、空き家は「貸す」か「売る」か?判断基準を整理をご覧ください。
個人で取得するか、法人で取得するか
空き家を個人の名義で取得するか、法人の名義で取得するかによって、取得時と保有中の税金の考え方が変わります。例えば、無償で譲り受けた場合の課税の扱い、家賃収入にかかる税金の計算方法、経費にできる範囲、将来売却したときの扱いなどが異なります。
どちらが有利かは、本業の収入、保有する物件の数、将来の計画などによって変わり、一概には言えません。法人を設立・維持する費用や手間もかかります。初めての1件目から複雑に考えすぎる必要はありませんが、今後物件を増やしていく考えがある場合は、早い段階で税理士に相談し、自分の状況に合った形を検討しておくとよいでしょう。
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登記でよくある注意点
- 名義が亡くなった方のままになっている:前の所有者の名義が相続されていない場合、所有権を移す前に相続登記が必要になることがあります。相続登記は2024年4月から義務化されています。
- 抵当権などが残っている:登記事項証明書を取り寄せ、抵当権や差押えなどの権利が残っていないかを確認しましょう。
- 所有者の住所・氏名が変わっている:登記上の情報と現在の情報が異なる場合、追加の登記が必要になることがあります。
- 建物が登記されていない・内容が違う:古い建物では、登記がされていない、増築部分が反映されていないといったケースがあります。建物の登記をどう扱うかは、司法書士や土地家屋調査士に相談しましょう。
相続人が複数いる場合は、全員の合意がないと手続きが進まないこともあり、取得までに時間がかかる原因になります。所有者の調べ方や登記事項証明書の取り方は、空き家の所有者を調べる方法|登記事項証明書の取り方と連絡の進め方で詳しく紹介しています。登記の状態は、費用だけでなく取得できるかどうかそのものに関わるため、話を進める早い段階で確認しておくことが大切です。
費用を把握するための進め方
- 登記事項証明書と、固定資産税の評価額(納税通知書や評価証明書)を確認する。
- 司法書士や税理士に、登記費用や税金の概算を確認する。
- 取得から賃貸・売却までの資金計画に、これらの費用を組み込む。
固定資産税の評価額は、所有者に届く納税通知書の課税明細や、市区町村で取得できる評価証明書で確認できます。評価証明書は、原則として所有者などでなければ取得できないため、所有者に協力をお願いするのが一般的です。評価額が分かれば、登録免許税や不動産取得税のおおよその規模を専門家に試算してもらいやすくなります。
専門家に相談する前にそろえておきたいもの
- 土地と建物の登記事項証明書(法務局で取得できます)
- 固定資産税の納税通知書の写し、または評価証明書
- 取得の方法(売買か、無償での譲渡か)と、取得する名義(個人か法人か)の予定
- 前の所有者の状況(存命か、相続が済んでいるか、相続人は何人か)
- 取得後に貸すのか、売るのか、自分で使うのかといった活用の予定
これらがそろっていると、相談の時間が短く済み、見積もりの精度も上がります。分からない項目があれば、その旨を伝えたうえで相談すれば問題ありません。
取得の前後でやることと費用が発生するタイミング
税金や登記の費用は、支払う時期がばらばらです。どの時点で何にお金が出ていくのかを時系列で把握しておくと、資金繰りの計画が立てやすくなります。一般的な流れは次のとおりです。
- 検討の段階:登記事項証明書や公図などの取得に、法務局の手数料がかかります。現地確認の交通費もこの段階で発生します。
- 契約の段階:所有者との間で、費用の負担や引き渡しの条件を取り決め、書面に残します。契約書の内容によっては印紙税がかかります。
- 名義変更の段階:登録免許税と、司法書士に依頼する場合はその報酬を支払います。相続登記などが先に必要な場合は、その費用の負担もここで発生します。
- 取得から数か月後:課税される場合は、不動産取得税の納税通知が届きます。
- 翌年以降:毎年、固定資産税の納税通知が届きます。家賃収入があれば、翌年に確定申告を行います。
修繕工事の支払いは、多くの場合、名義変更の後から入居者募集の前にかけて集中します。登記の費用や不動産取得税の分を確保しないまま修繕に資金を回してしまうと、後から届く納税通知に対応できなくなるおそれがあります。税金の分はあらかじめ別に取り分けておくのが安全です。
税金以外で見落としやすい関連費用
- 登記事項証明書、公図、評価証明書などの書類の取得手数料
- 相続人が多い場合の戸籍の収集や、連絡にかかる費用
- 境界の確認や測量が必要になった場合の、土地家屋調査士への報酬
- 取得直後から必要になる火災保険料
- 遠方の物件の場合の、契約や立ち会いのための交通費
一つひとつは大きな金額でなくても、合計すると予算を圧迫することがあります。資金計画には「諸費用」の枠をつくり、余裕を持たせておきましょう。
税金・登記でつまずきやすいケース
ここでは、取得の前後で起こりがちなつまずきを、仮の例として紹介します。実際にどうなるかは個別の状況で異なりますが、事前に何を確認すべきかを考える参考にしてください。
- 例えば、取得後に不動産取得税の通知が届いて慌てるケース:取得時の費用を登記費用だけと考えて修繕に資金を使い切り、数か月後の納税通知に対応できなくなる、という流れです。課税の有無を事前に確認し、取り分けておけば防げます。
- 例えば、相続登記が済んでいないことに後から気づくケース:所有者と話がまとまってから登記事項証明書を確認したところ、名義が先代のままだった、というものです。相続人全員の協力が必要になり、取得まで長い時間がかかることがあります。
- 例えば、無償の譲渡に関わる税金を想定していなかったケース:0円だから税金はかからないと考えて手続きを進め、後から贈与に関する税金などの扱いを知る、というものです。契約前に税理士や税務署へ相談しておくことが大切です。
いずれも、登記事項証明書の確認と、専門家への事前の相談で避けやすいつまずきです。0円取得で後悔しやすいケース全般については、空き家0円は本当?よくある疑問とデメリットを解説もあわせてご覧ください。
よくある質問
0円で取得した場合でも、登録免許税はかかりますか?
登録免許税は、一般に取引の金額ではなく固定資産税評価額などをもとに計算されるため、0円で取得した場合でもかかるのが通常です。評価額や登記の原因によって金額が変わるため、司法書士や法務局で確認してください。
税金や登記費用は、売主と買主のどちらが負担するのですか?
所有権移転登記の費用は買主(取得する側)が負担するのが一般的ですが、法律で一律に決まっているわけではなく、当事者間の取り決めによります。0円取得では、相続登記や残置物の処分など、本来は所有者側で行う手続きの費用をどちらが持つかも話し合いのポイントになります。取り決めた内容は書面に残しておきましょう。
取得した年の固定資産税は誰が払うのですか?
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます。そのため、年の途中で取得した場合、その年の納税通知は前の所有者に届きます。取引の慣行として日割りで精算することがありますが、0円の譲渡では精算しないと取り決めることもあります。どう扱うかを事前に話し合っておくと、後のトラブルを防げます。
税金や登記の相談は、誰にすればよいですか?
一般に、登記の手続きや費用は司法書士、建物の登記や測量は土地家屋調査士、税金の扱いは税理士や税務署、固定資産税は物件のある市区町村、不動産取得税は都道府県の税の窓口が相談先になります。どこに聞けばよいか迷う場合は、まず司法書士か税理士に状況を伝え、必要に応じて他の専門家を紹介してもらうのも一つの方法です。
相続登記が済んでいない物件は取得できませんか?
取得できないとは限りませんが、一般には、まず相続人の名義に変えてから所有権を移す流れになります。相続人の人数や連絡のつきやすさによって、時間と費用が大きく変わります。誰がどの費用を負担するかも含めて、早めに司法書士へ相談するのがおすすめです。
まとめ
空き家の取得では、取得価格のほかに、登記費用や税金が発生します。取得時の登録免許税・不動産取得税・贈与に関する税金、保有中の固定資産税や所得にかかる税金、そして登記の状態によって生じる追加の手続きまで、段階ごとに整理しておくことが大切です。金額や扱いは、取得の方法や地域、制度改正によって変わるため、実際の取引の前に専門家へ確認することが欠かせません。費用全体のイメージは、空き家0円取得は本当に儲かる?初期費用と収支の目安、取得の仕組みは、空き家を0円で手に入れる方法とは?仕組みと注意点を解説もあわせてご覧ください。
ゼロイエでは、空き家(主に戸建)を0円で取得し、貸すか売るかで収益を手にするための知識とノウハウを、全国的な会員組織を通じて学べる仕組みを提供しています。詳しくは会社概要やゼロイエとはのページをご覧ください。
あわせて読みたい(空き家起業家®椙田拓也のブログ)
【ご注意】
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件・個人に対する税務・法律・会計上の助言ではありません。税金・登記・法令・補助制度などは、物件の所在地や個別の状況、制度改正によって内容が異なります。実際の取引や運用にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・不動産の専門家などにご相談のうえ、最新の公的情報をご確認ください。また、本記事内の数値は一般的な例や仮の試算であり、収益や成果を保証するものではありません。
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