
空き家を相続した、あるいは0円で譲り受けた。そのあと届いた書類を見て、「固定資産税とは別に、住民税もかかるのだろうか」「貸さずに置いているだけでも税金は払い続けるのか」「貸して家賃が入ると、税金はどうなるのか」と不安になる方は少なくありません。空き家に関する税金は、取得したとき、持っている間、貸して収入を得たとき、売るときと、場面ごとに種類も窓口も変わるため、全体像がつかみにくいのが実情です。
この記事では、そのうち「持っている間にかかる税金」と「貸して家賃が入ったときに関わる税金」を中心に、固定資産税と都市計画税、住宅用地の特例の考え方、放置した場合の扱い、所得税と住民税の関係、相続した空き家の注意点、相談先を順に整理します。税率や特例の割合、金額、期限は自治体や年度、個別の事情で変わるため、具体的な数字は書いていません。実際の判断は、自治体の課税担当、税務署、税理士などに確認してください。
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空き家に関わる税金は、いつの話なのかを分けて考えると整理しやすくなります。大きく分けると、次の4つの場面があります。
この記事の中心は、2番目と3番目です。取得するときの税金と登記費用は空き家を取得したときにかかる税金と登記費用まとめで、貸すか売るかの判断は空き家は「貸す」か「売る」か?判断基準を整理で扱っています。この記事ではそれらに深入りせず、持っている間と、貸したあとの税金に絞ります。
大切なのは、「持っている間の税金」は貸していなくても発生する、という点です。固定資産税などは、空き家を使っていない状態でも、所有しているだけで毎年かかります。一方、所得税や住民税は、家賃収入という所得が生じて初めて関わってくる税金です。この違いを頭に置いておくと、「貸さずに持ち続ける負担」と「貸して収入を得る場合の負担」を比べやすくなります。
固定資産税は、土地や建物などの固定資産を持っている人にかかる、市区町村の税金です(東京23区は東京都が課税します)。毎年1月1日の時点で、固定資産課税台帳に所有者として登録されている人が納税義務者になるのが基本です。使っているか、空き家のままか、貸しているかは、課税の有無には関係しません。
都市計画税は、市街化区域内など、都市計画事業の対象となる地域にある土地や建物にかかる税金です。固定資産税とあわせて納める形で通知されることが多い一方、課税するかどうかや扱いは自治体の条例によって異なります。地方の空き家の場合、そもそも都市計画税の対象外となっている地域もあるため、自分の物件が対象かどうかは、納税通知書で確認できます。
固定資産税と都市計画税は、多くの自治体で、年度の初めごろに「納税通知書」が送られてきます。納税通知書には、物件ごとの評価額、課税される金額、納める時期と金額、納付書などが記載されています。時期や納付の回数、口座振替やコンビニ払いなどの納め方は自治体ごとに異なるため、お住まいの自治体の案内を確認してください。
注意したいのは、通知書の送り先です。通知書は、課税台帳に登録された所有者あてに送られます。空き家の場合、所有者が遠方に住んでいたり、住所変更の届け出が済んでいなかったりすると、通知書が届かない、古い住所に届いてしまうといったことが起こりえます。通知書が届かないからといって、納税義務がなくなるわけではないため、思い当たる場合は物件のある自治体の課税担当に問い合わせましょう。
また、通知書に添えられる課税明細書には、土地と家屋ごとの内訳が載っています。複数の物件を持っている場合や、土地が複数の筆に分かれている場合は、どの物件の分なのかを明細で確認する習慣をつけておくと、後で経費を整理するときに役立ちます。
固定資産税は、土地や家屋の「評価額」をもとに計算されます。この評価額は、自治体が固定資産評価基準に基づいて決めるもので、数年に一度、全国的な見直し(評価替え)が行われます。そのため、物件の状態が変わっていなくても、年度によって税額が変わることがあります。
また、建物を増築・改築した場合や、取り壊して更地にした場合なども、評価や課税の扱いが変わります。評価額に疑問がある場合には、一定の期間内であれば、自治体に不服を申し立てる仕組みもあります。ただし、手続きや期間には決まりがあるため、まずは課税担当に相談してみるとよいでしょう。
固定資産税には、評価額が一定の金額に満たない場合に課税されない「免税点」の仕組みがあります。ただし、その基準や考え方には細かな決まりがあります。「古い家なので税金はかからないはず」と思い込まず、納税通知書の内容を見て判断するようにしましょう。
土地の固定資産税には、住宅が建っている土地について、税負担を軽くする「住宅用地の特例」という仕組みがあります。居住用の家屋が建っている土地は、更地に比べて課税の計算上の扱いが軽くなる、というのが基本的な考え方です。空き家が建っている土地でも、この特例が適用されている場合があります。
ここで押さえておきたいのは、次の点です。
特に、「古い空き家を解体すれば維持の手間がなくなる」と考える方は、解体後の固定資産税の扱いを事前に確認しておくことが大切です。建物がなくなると、土地にかかる税額が上がる場合があり、解体費用だけでなく、その後の税負担も含めて考える必要があります。逆に、建物を残している場合でも、管理状態によっては特例の扱いが変わることがあります。次の章で触れます。
「自分の物件はどうなるのか」は、インターネットの情報だけで決めずに、物件のある自治体の課税担当や税務署、税理士に確認してください。貸すために手を入れる予定がある場合は、その計画も伝えて相談すると、見通しが立てやすくなります。
空き家は、使っていなくても所有者に管理する責任があります。屋根や外壁が傷んだまま放置したり、庭木が道路にはみ出したりすると、近隣に迷惑をかけるだけでなく、自治体から連絡が来ることもあります。
空き家に関しては、国の法律によって、倒壊の危険や衛生上の問題などがある管理の不十分な空き家に対し、自治体が所有者に助言や指導、場合によっては勧告といった措置をとる仕組みが設けられています。これらの対象となる空き家には、「特定空家等」や、その手前の段階として「管理不全空家等」といった区分が使われることがあります。
こうした措置が進み、勧告を受けた状態になると、住宅用地の特例の対象から外れ、固定資産税の負担が変わる可能性があります。つまり、「使っていないから放っておく」という選択が、税の面でも不利に働く場合があるということです。この仕組みは、法律の改正や自治体の運用の見直しがたびたび行われてきた分野でもあります。最新の内容や、自治体ごとの運用は、物件のある市区町村の空き家担当窓口や課税担当に確認してください。
放置による負担は、税金だけではありません。次のようなものが積み重なりやすくなります。
「貸す」「売る」と決めきれなくても、最低限の管理(換気、通水、草刈り、郵便物の確認など)を続けておくことで、こうした負担を抑えやすくなります。遠方の物件の管理や、賃貸に出す場合の運営の考え方は遠方の空き家は賃貸に出せる?離れた物件の運営の考え方で整理しています。
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空き家を貸して家賃を受け取ると、その収入は「不動産所得」として扱われるのが基本です。家賃収入から必要経費を差し引いた金額が所得となり、その所得に対して所得税と住民税が計算されます。つまり、税金がかかるのは家賃収入そのものではなく、経費を引いたあとの所得が基準になります。
経費には、固定資産税や都市計画税、火災保険料、修繕費、管理を任せる場合の管理料などが含まれるのが一般的です。ただし、何が経費にできて何ができないのか、修繕費と資本的支出の区分、減価償却の考え方などは判断が分かれやすい部分です。詳しくは戸建て賃貸の確定申告|不動産所得の基本と経費の考え方で整理しています。この記事では、全体像だけをつかんでおいてください。
所得税は、1年間の所得を自分で計算して申告する「申告納税」の方式です。会社員の方が給与以外に不動産所得がある場合は、所得の金額などによって、確定申告が必要になることがあります。申告が必要かどうか、いくらから必要になるかは、他の所得の状況によって変わるため、税務署に確認しましょう。
個人の住民税は、前年の所得をもとに、翌年に決まるのが基本です。確定申告をした場合、その内容が市区町村にも伝わり、住民税の計算に使われるのが一般的です。つまり、家賃収入が入った年の所得は、翌年度の住民税に反映されます。確定申告が不要な場合でも、住民税については別に申告が必要になることがあるため、市区町村の窓口に確認してください。
住民税の通知や支払いは、会社員の場合、勤務先を通じて給与から差し引かれる方法が使われることが多く、この仕組みの中で、副業の所得が勤務先に知られるかどうかが気になる方もいます。この点は空き家投資の副業は会社にバレる?住民税と確定申告から考えるで詳しく扱っていますので、そちらを参考にしてください。
不動産所得が増えると、所得税や住民税だけでなく、所得をもとに決まる他の負担にも影響が出ることがあります。例えば、国民健康保険料や、家族の扶養に入っているかどうかの判断、各種の給付や控除の条件などです。どの制度にどの程度影響するかは、加入している制度や世帯の状況によって異なります。家賃収入が入りそうな時期には、あらかじめ税理士や、各制度の窓口に確認しておくと安心です。
居住用の建物を貸す場合の家賃は、消費税が非課税として扱われるのが一般的です。そのため、住まいとして貸す戸建て賃貸では、家賃に消費税を上乗せして請求する場面は、通常は多くありません。ただし、事務所や店舗として貸す場合や、駐車場の扱いなどは、状況によって取り扱いが異なることがあります。貸し方を決める前に、税理士や税務署に確認しておきましょう。
不動産所得が赤字になると、他の所得と合わせて計算できる場合があるため、「空き家を貸すと節税になる」と言われることがあります。しかし、赤字になる背景には、修繕や空室といった実際の負担があります。手元のお金が減っている状態で、税金の計算だけが軽くなっても、全体として良い結果になるとは限りません。税金は、収支を考えるうえでの一つの要素として捉え、数字だけを追いかけないことが大切です。また、赤字の扱いには制限や条件がある場合もあるため、税理士などに確認したうえで判断してください。
空き家の多くは、親や親族から相続した家です。相続した空き家は、所有者が亡くなったあとも、手続きが進まないまま時間が過ぎてしまうことがあります。税金の面で確認しておきたいのは、次の点です。
こうした点は、状況によって対応が大きく異なります。名義がどうなっているかを確認する方法は空き家の所有者を調べる方法|登記事項証明書の取り方と連絡の進め方で解説しています。相続税や、売却時の特例については、税務署や税理士、手続きについては司法書士に相談するのが基本です。
相続した空き家は、「とりあえず置いておく」期間が長くなるほど、固定資産税の負担が続き、建物の傷みも進みやすくなります。相続のあとに貸す・売る・手放すのいずれを選ぶかは、早めに家族で話し合い、専門家の意見も聞きながら決めていくのがおすすめです。
税金の仕組みが分かっても、自分の物件でどうなるのかは、実際の書類を見ないと分かりません。次の順番で確認すると、整理しやすくなります。
税金の相談先は、内容によって異なります。迷ったときの目安を、次に挙げます。
窓口によって回答が異なるように感じることもありますが、それぞれが担当している税目や制度が違うためです。全体を通しての相談は、税理士に頼むと整理しやすくなります。税理士に依頼する際は、不動産の税務に慣れているかどうかを確認するのも一つの方法です。
専門家に相談する際は、次のような資料があると、話が早く進みます。
空き家の持ち主として、1年の流れをあらかじめ把握しておくと、慌てずに済みます。固定資産税の納税通知書が届く時期、納付の時期、貸した場合の確定申告の準備、住民税の通知の時期などを、カレンダーやメモにまとめておきましょう。特に、納付の期限は自治体ごとに異なるため、通知書に書かれた日付を確認して、納め忘れを防いでください。
貸す以外の使い道を含めて、空き家の活用方法を比べたい場合は空き家を貸す以外にどう活かす?用途別の選択肢と許認可の注意点も参考になります。
はい、使っているかどうかに関わらず、課税台帳に所有者として登録されている人に課税されるのが基本です。税額が下がる可能性があるのは、評価の見直しや特例が関わる場合などで、「使っていないから払わなくてよい」ということにはなりません。通知書が届かない場合も、納税義務がなくなるわけではないため、自治体の課税担当に確認してください。
家賃収入から必要経費を引いた不動産所得が、他の所得に加わることで、住民税の計算の元になる所得が増えるのが基本です。ただし、経費や控除の状況によっては、所得があまり増えない、あるいは赤字になる場合もあります。実際にどう変わるかは、収入、経費、他の所得、お住まいの自治体の扱いによって異なるため、税理士や市区町村の窓口に確認してください。
建物がなくなれば、家屋にかかる分の固定資産税はなくなりますが、土地について住宅用地の特例が外れ、土地の税額が変わる可能性があります。全体として安くなるか高くなるかは、物件や自治体、特例の適用状況で異なります。解体前に、土地と建物の現在の課税の内訳を課税担当に確認し、解体費用とあわせて比較しましょう。
名義変更が済んでいない場合でも、実際に所有している相続人などに課税されることがあります。相続人が複数いる場合は、通知書を受け取る人を決める手続きが必要になることもあります。どの相続人が、どの手続きを行うのかは、自治体の課税担当や司法書士、税理士に確認してください。
空き家を持っている間は、使っていなくても固定資産税(と、対象地域では都市計画税)がかかります。納税通知書は課税台帳の所有者あてに届き、評価は数年に一度見直されます。住宅用地の特例の適用は、建物の状態や管理の状況、自治体の判断で変わるため、解体や放置を考える前に、課税担当に確認することが大切です。
貸して家賃が入った場合は、不動産所得として所得税と住民税の計算に関わってきます。何を経費にできるかや、申告の要否は、状況によって異なります。相続した空き家は、名義や相続税、売却時の特例など、確認することが増えるため、早めに専門家に相談しましょう。税金は物件の収支を左右する要素の一つです。数字は自治体や年度で変わるので、最新の情報を、税務署・税理士・自治体の窓口で確認しながら進めてください。
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【ご注意】
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件・個人に対する税務・法律・会計上の助言ではありません。税金・登記・法令・補助制度などは、物件の所在地や個別の状況、制度改正によって内容が異なります。実際の取引や運用にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・不動産の専門家などにご相談のうえ、最新の公的情報をご確認ください。また、本記事内の数値は一般的な例や仮の試算であり、収益や成果を保証するものではありません。
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