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空き家を賃貸に出したものの入居者が決まらない、あるいはこれから貸し出す物件を改修したいけれど費用が気になる。そんなときに「空室対策に使える補助金はないだろうか」と考える方は多いのではないでしょうか。
賃貸住宅の改修に関わる補助制度は、国や自治体がさまざまな目的で用意していることがあります。ただし、制度の内容や対象、受付期間は年度ごとに変わり、地域によっても大きく異なります。この記事では、賃貸として貸す・空室を埋めることを目的とした改修に絞って、補助金を探す前に整理しておきたいこと、制度の探し方、申請で注意したい点、補助金に頼りすぎない空室対策の考え方をまとめます。
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空き家に関する補助金には、空き家の除却(解体)や、自分や家族が住むための改修、移住者向けの支援など、さまざまな目的のものがあります。空き家の改修に使える補助金全般と自治体制度の探し方は空き家の改修に使える補助金・助成金と、自治体制度の探し方で、補助金の金額がどのように決まるのかや申請の大まかな流れは空き家の補助金はいくらもらえる?金額の決まり方と申請の流れで解説しています。
この記事では、それらと重ならないように、大家として物件を賃貸に出す、または空室を埋めるために改修するケースに焦点を当てます。賃貸目的の改修は、自分が住むための改修とは要件が違ったり、そもそも対象外になったりすることがあるため、別の視点で確認が必要です。
補助金を探し始める前に、まず「なぜ空室になっているのか」「何を改修すれば入居が決まりやすくなるのか」を整理しておくことが大切です。補助金が使える工事を優先してしまうと、空室の原因とは関係のない改修にお金をかけてしまうおそれがあるからです。
空室の原因は、大きく次のように分けられます。
・家賃と条件の問題:周辺の相場より家賃が高い、ペット不可や駐車場なしなど、地域の需要に合わない条件になっている。
・募集の問題:ポータルサイトに掲載されていない、写真が少ない・暗い、不動産会社に物件の魅力が伝わっていない。
・建物の問題:水回りが古い、寒い・暑い、段差が多い、外観が傷んでいるなど、住み心地や見た目に不満が出やすい状態になっている。
原因を見極めるには、募集を任せている不動産会社に「問い合わせや内見の数」「内見した人がどこを気にしていたか」を聞いてみるのが近道です。問い合わせそのものが少ないなら家賃や募集の見せ方、内見はあるのに決まらないなら建物の状態や設備に原因がある可能性が高いと考えられます。前の入居者が退去した理由が分かっていれば、それも大切な手がかりになります。
補助金が関係するのは、主に3つ目の「建物の問題」です。家賃設定や募集方法に原因がある場合は、改修よりも先にそちらを見直したほうが、費用をかけずに改善できることがあります。周辺の家賃の調べ方は空き家の家賃相場の調べ方|地方の戸建て賃貸の需要を見極める、募集の進め方は戸建て賃貸の入居者募集のコツ|ポータルサイトと不動産会社の使い分けで解説しています。
国や自治体の補助制度は、「住宅の性能を上げる」「安全性を高める」「特定の世帯の住まいを確保する」「空き家を活用する」といった政策の目的に沿って設けられています。そのため、対象になる工事も目的と結びついています。ここでは、賃貸住宅の改修で対象になる可能性がある工事の種類を、一般的な傾向として紹介します。実際に対象になるかどうかは、必ず各制度の公募要領で確認してください。
窓の断熱改修や、断熱材の追加、高効率な給湯器への交換など、住宅の省エネ性能を高める工事は、補助の対象になっていることが比較的多い分野です。入居者にとっても、冬の寒さや夏の暑さ、光熱費の負担が軽くなるため、空室対策としての効果も期待できます。ただし、使える製品や性能の基準、施工業者の登録などの条件が細かく決められていることが多いため、工事の前に確認が必要です。
古い基準で建てられた木造住宅などを対象に、耐震診断や耐震改修の費用の一部を補助する制度を設けている自治体があります。賃貸住宅が対象に含まれるかどうか、所有者が住んでいない住宅でも使えるかどうかは制度ごとに違うため、事前に自治体の担当窓口に確認しましょう。耐震性の向上は、入居者の安心にもつながります。
高齢者や子育て世帯が住みやすいように、段差の解消や手すりの設置、間取りの変更などを支援する制度が設けられることがあります。賃貸住宅の場合、入居者の条件(高齢者世帯や子育て世帯など)や、一定期間その条件で貸し続けることが要件になっていることもあります。
自治体によっては、空き家バンクに登録された物件や、移住者に貸し出す物件の改修費用を支援していることがあります。地域への定住を促すことが目的のため、入居者が移住者であること、空き家バンクへの登録、一定期間の賃貸などが条件になっている場合があります。対象地域や受付期間が限られていることも多いので、物件の所在地の自治体の情報を確認してください。
空室対策としてよく行われる、キッチンや浴室の交換、壁紙や床の張り替えといった内装・設備の更新は、それだけでは補助の対象にならない制度も少なくありません。省エネ性能の向上やバリアフリー化など、制度の目的に合う工事と組み合わせることで対象になる場合もあります。見積もりの段階で、どの工事が対象になりうるのかを業者や窓口と確認しておくと、無駄がありません。
補助制度は、国の制度と自治体の制度があり、自治体の独自制度は地域ごとにまったく違います。また、国の制度も含めて、制度の名称や内容、予算、受付期間は年度ごとに変わることが多く、昨年あった制度が今年はない、内容が大きく変わった、ということも珍しくありません。インターネット上の古い記事の情報をうのみにせず、必ず最新の公募要領を確認するようにしましょう。
探し方の手順としては、次のような流れが効率的です。
①物件所在地の自治体のウェブサイトを確認する:住宅、建築、まちづくり、空き家対策、移住定住などの担当部署のページに、補助制度の案内が載っていることが多いです。「自治体名 住宅 改修 補助」「自治体名 空き家 補助金」などで検索すると見つけやすくなります。
②担当窓口に直接問い合わせる:ウェブサイトに載っていない制度や、年度途中で始まる制度もあります。「賃貸目的の改修でも対象になるか」「所有者が住んでいなくても使えるか」を具体的に聞くと、話が早く進みます。
③国の制度は、所管する省庁や事務局の最新情報を確認する:国の制度は、毎年のように名称や内容が変わります。リフォーム会社が情報を持っていることもあるため、見積もりを依頼する際に「使える補助制度があるか」を相談するのも一つの方法です。
④公募要領を読み、要件を一つずつ確認する:対象者、対象となる住宅、対象工事、補助の上限、申請期間、必要書類、工事の期限などを確認します。分からない点はそのままにせず、担当窓口に確認しましょう。
自治体の窓口やリフォーム会社に相談するときは、物件の所在地、建築された時期、建物の構造と広さ、現在の状態(空室か入居中か)、検討している工事の内容と概算の費用、賃貸として貸す予定であることを整理しておくと、対象になりそうな制度を判断してもらいやすくなります。登記事項証明書や固定資産税の納税通知書など、所有者や建物の情報が分かる書類も手元に用意しておくと安心です。
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補助金は、条件を満たしていれば自動的にもらえるものではなく、手続きの順番や期限を守らないと受け取れないことがあります。特に次の点には注意が必要です。
多くの補助制度では、交付の決定を受けてから工事の契約や着工をすることが求められます。先に工事を始めてしまうと、後から申請しても対象外になることがあります。空室を早く埋めたいと焦って工事を先行させると、補助を受けられなくなるおそれがあるため、スケジュールは余裕を持って組みましょう。
賃貸住宅向けの制度では、「一定期間は賃貸住宅として貸し続けること」「入居者を特定の世帯に限ること」「家賃に上限を設けること」などの条件がつく場合があります。条件を守れなかった場合、補助金の返還を求められることもあります。売却や用途変更を考えている物件では、こうした条件が将来の選択肢を狭めないかも確認しておきましょう。
補助制度には年度ごとの予算があり、申請が予算に達した時点で受付が締め切られることがあります。受付期間内でも先着順で早めに終わる場合があるため、使いたい制度が見つかったら早めに準備を始めることが大切です。
多くの場合、補助金は工事が完了し、実績報告をして内容が確認された後に支払われます。そのため、工事費はいったん全額を自分で用意する必要があります。補助金が入るまでの期間も含めて、資金計画を立てておきましょう。
地元の業者に依頼すること、登録された事業者が申請することなど、施工業者に関する条件がある制度もあります。また、工事前後の写真や見積書、領収書など、提出が必要な書類が多く求められます。依頼する業者には、補助制度を使う予定であることを最初に伝え、必要な写真や書類をそろえてもらえるか確認しておくと安心です。
補助金を使って空室対策の改修をする場合、一般的には次のような順番で進めます。制度によって手順や必要書類は異なるため、実際には公募要領の手順に従ってください。
①空室の原因を整理し、必要な工事を決める:家賃や募集方法で解決できることがないかも含めて検討します。
②使えそうな制度を探し、要件を確認する:賃貸目的の改修が対象か、所有者の条件、工事内容の条件などを確認します。
③施工業者に見積もりを依頼する:補助制度を使う予定であることを伝え、制度の要件に合った見積書を作ってもらいます。
④申請して交付の決定を待つ:決定が出るまでは、工事の契約や着工をしないのが基本です。
⑤工事を行い、写真や書類をそろえる:工事前・工事中・工事後の写真など、報告に必要な資料を残しておきます。
⑥実績報告をして補助金を受け取る:報告の内容が確認された後に、補助金が支払われます。
⑦入居者を募集する:改修した部分は募集の写真や説明で伝え、物件の魅力として生かします。
申請から交付の決定までに数週間から数か月かかることもあります。その間は工事に着手できないため、空室期間が延びる可能性があります。補助金で減らせる費用と、待つ間に失う家賃を比べて、使うかどうかを判断することも大切です。
補助金は改修費の負担を軽くしてくれる心強い仕組みですが、「補助金が出るから」という理由だけで工事を決めるのはおすすめしません。補助が出ても、自己負担分は必ず発生します。その工事が入居者の獲得や家賃の維持につながらなければ、結果として投資の回収が遅れることになります。
改修を検討するときは、次の順番で考えると判断しやすくなります。
①空室の原因を解消するために、本当に必要な工事は何かを決める。
②その工事で、入居が決まりやすくなる、家賃を維持できる、退去が減るなど、どのような効果が見込めるかを考える。
③補助金がなくても、その工事の費用を回収できる見込みがあるかを計算する。
④そのうえで、使える補助制度があれば活用し、自己負担を減らす。
例えば、空室の原因が「冬が寒い」という声にあり、窓の断熱改修を検討しているとします。この場合、まず補助がなくても工事費を家賃や空室期間の短縮で回収できるかを考え、そのうえで断熱改修に使える制度があれば申請する、という順番になります。反対に、空室の原因が家賃設定にあるのに、補助が出るからと断熱改修を先に行っても、入居が決まらない状況は変わらないかもしれません。
補助金は「もともと必要な工事の負担を減らすもの」と位置づけておくと、制度に振り回されずに済みます。補助の要件に合わせるために、必要以上に高い仕様の工事を選んでしまうことも避けたいところです。どこまで直すかの考え方は賃貸に出す前にどこまで直す?必要最小限のリフォームの考え方も参考にしてください。
補助制度が見つからなかった場合や、要件が合わなかった場合でも、空室対策の手段はほかにもあります。費用をあまりかけずにできることから試してみるのも一つの方法です。
・家賃や初期費用の見直し:周辺の相場と比べて高すぎないか、敷金・礼金などの初期費用が負担になっていないかを確認します。
・入居条件の見直し:ペット可、駐車場の確保、入居者によるDIYを認めるなど、地域の需要に合わせて条件を広げると、選ばれやすくなることがあります。
・募集の見せ方の改善:明るく広く見える写真を増やす、周辺環境や生活の便利さを伝えるなど、物件の魅力が伝わる募集にします。
・小さな改修で印象を変える:照明の交換、壁紙の張り替え、水回りの部品交換、玄関まわりの清掃など、比較的少ない費用で内見時の印象を良くできる工事もあります。
・管理会社や仲介会社との連携:地域の賃貸事情に詳しい不動産会社に、どのような条件や設備が求められているかを聞き、募集条件や改修の優先順位に反映させます。複数の会社に募集を依頼することで、物件を知ってもらう機会を増やせる場合もあります。
こうした対策と改修を組み合わせ、費用をかけるべき部分とかけなくてよい部分を見極めることが、空室を埋めるための近道になります。
制度によって異なります。個人の所有者が対象になっている制度もあれば、法人や一定の事業者に限られている制度もあります。また、自分が住む住宅に限られ、賃貸住宅は対象外という制度もあるため、公募要領で対象者と対象住宅を確認するか、担当窓口に問い合わせてください。
多くの制度では、工事の契約や着工の前に申請し、交付の決定を受けることが求められます。工事後の申請を認めていない制度も多いため、補助金を使う可能性がある場合は、工事の計画段階で確認しておきましょう。
賃貸住宅の改修に対する補助金は、税務上の取り扱いを確認しておく必要があります。扱い方は個別の状況によって異なるため、確定申告の前に税理士や税務署に確認してください。不動産所得の申告の基本は戸建て賃貸の確定申告|不動産所得の基本と経費の考え方で解説しています。
制度によっては、家賃の上限や入居者の条件が定められていることがあります。こうした条件がある場合、一定期間は自由に家賃を設定できないこともあるため、申請前に要件を確認し、収支計画に影響がないかを検討しておきましょう。
取得前の段階では、補助金を前提にした収支計画は立てないほうが安全です。制度は年度ごとに変わり、予算枠に達して受付が終わることもあるため、実際に使えるかどうかは申請してみるまで分かりません。補助金がなくても成り立つ計画を立てたうえで、使えたら負担が減る、という位置づけで考えましょう。
空室対策として賃貸住宅を改修するときは、補助制度を活用できる可能性があります。ただし、制度の内容や対象、受付期間は国・自治体ともに年度ごとに変わり、賃貸目的の改修が対象外となっている制度もあります。インターネット上の情報だけで判断せず、物件所在地の自治体の担当窓口や最新の公募要領で必ず確認してください。
また、補助金ありきで工事を決めるのではなく、まず空室の原因を整理し、本当に必要な改修を見極めたうえで、使える制度があれば活用するという順番で考えることが大切です。申請は工事前に必要なことが多く、補助金は後払いが基本であることも踏まえ、余裕を持ったスケジュールと資金計画を立てましょう。税金の扱いなど判断に迷う点は、税理士などの専門家に相談しながら進めてください。
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【ご注意】
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の物件・個人に対する税務・法律・会計上の助言ではありません。税金・登記・法令・補助制度などは、物件の所在地や個別の状況、制度改正によって内容が異なります。実際の取引や運用にあたっては、税理士・司法書士・弁護士・不動産の専門家などにご相談のうえ、最新の公的情報をご確認ください。また、本記事内の数値は一般的な例や仮の試算であり、収益や成果を保証するものではありません。
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